ルーク・ヴァイバート 発掘interview 〜 WARPレコーズ特集

「シンプルなメロディやアレンジを大切にして、自分を100%出し切れるライブ的手法で作った」 (ルーク・ヴァイヴァート/2004年インタビュー)

「シンプルなメロディやアレンジを大切にして、自分を100%出し切れるライブ的手法で作った」 (ルーク・ヴァイヴァート/2004年インタビュー)

ドラムンベースのPlugやワゴン・クライストとしての名義も持つルーク・ヴァイバート。このインタビューは、WARPからリリースした彼のソロ作『ヨセフ』時のもの。2003年と言えば既にDAWが普及していた時期だが、ハードにこだわり抜く姿勢が実にクールだ。


[この記事は、サウンド&レコーディングマガジン2004年1月号のものです] Interpretation:Tom Tao


リフレックス、モ・ワックス、ニンジャ・チューンなどのレーベルから実験的な作品をリリースしてきたルーク・ヴァイバートが、ワープから初のアルバム作品となる『ヨセフ』を発表した。初期アシッド・テクノをほうふつさせるROLAND TB-303全開のサウンドとそれに絡むシンプルなブレイクビーツ、そして随所にちりばめられたシンセ・サウンドが心地良いこの作品。制作作業についてヴァイバートに聞いていこう。


DAWも使っていたけど、自分の5%も出し切れていない気がしたんだ


■サンプリング的手法が目立ったこれまでの作品と比べ、本作はユニークなシンセ音を多用していますね。サンプラーとシンセを使った割合は?


ルーク  ほとんどがシンセサイザーだよ。サンプラーの音は後からほんの少し加えただけだね。今回レコーディングにはROLAND VS-1680を使っているんだけど、最初にTB-303、ROLAND SH-101などの古いアナログ・キーボードでシンプルにプレイして録音し、そこにコード、スペース・ノイズ、ボイス・サンプルなどをオーバーダブしていって曲を作ったんだ。リズムについてはほとんどがリズム・マシンによるもので、たまにレコードからのサンプルを使ったり、ライブ録音したパーカッションなどを重ねたりもしたよ。


■コンピューターは使っていないのですか?


ルーク  PROPELLERHEAD Reasonのサンプラーを少し使っただけで、ほとんど使ってないよ。すべてアナログ機材のシーケンサーや手弾きによるライブ録音なんだ。以前はSTEINBERG Cubaseなどを使っていたこともあるけど、必要以上なものに感じていて、自分の5%も出し切れていない気がしたんだ。今はシンプルなプログラミングによるメロディやアレンジを大切にしていて、自分を100%出し切れるようなライブ的手法で作っているんだ。


■では、ミックスについてはどのように?


ルーク  基本的にVS-1680の内蔵ミキサーでやっているよ。以前はロック的な歪みを求め大きなコンソールを好んで使った時期もあったけど、今では色付けの無いクリーンなミキサーが好きなんだ。VS-1680は素直な音で録音できるし、オートメーションやメモリー機能などで何度でも繰り返し録音できるから便利だね。


■ベースは"アシッド"な感じの音ですが、やはりTB-303を使っているですか?


ルーク  そうだね。アルバム中8曲くらいはTB-303を使っていて、そのほかはKORG MS-10などを使っている。僕は初期の"アシッド・サウンド"が大好きで、あの感じのベースを出すにはTB-303が必要なんだ。音作りについては、TB-303は音そのものが良いからエフェクトはほとんど必要無いね。ただ、質感を変えるためにすごくコンプレッションしているんだ。その調整にはかなり時間を掛けたよ。


■ベースに軽くかかったリバーブがいい感じですが、何を使っているのですか?


ルーク  リバーブはBOSS SE-70、YAMAHA REV100、ROLANDのSpace Echoを持っているんだけど、TB-303に使ったのはSE-70だね。とてもナイスなアンビエンスを出せるんだ。ただ、エフェクトの音作りにそんなに時間を費やしたりはしなかった。やはり曲作りの方が大切だからね。


■リズムはシンプルですが、ドラム音はさまざまな要素で構成されてますね。例えば「Synthax」では、どんな音を組み合わせたのでしょう?


ルーク  ハンド・クラップとスネアはROLAND TR-808で作ったもので、キックはTR-808のキックとROLAND TR-606のキックを重ねて作ったんだ。スネアやキックは3つくらい音を重ねると、パンチの効いた力強いものになるんだよ。あと「Noktup」「Yoseph」のキックのように音を重ねることで、微妙なズレやレゾナンスなんかでアタック感、広がり感も出すことができるんだ。これらはいろいろ試行錯誤していて、時には予期せぬ偶然が良い結果を出すこともあるよ。


■では、「Harmonic」のアンビエントな感じのシンセはどのように音作りを?


ルーク  あれはYAMAHA QY70のシンセをROLANDのSpace Echoに通し、ピッチを変化させて作ったものだね。QY70のみだとシンプルなキーボード・サウンドだけど、エフェクトを掛けることで面白い音に変化するんだ。


■とてもフロア向きのアルバムですが、作り終えてみてどんな感想を持っていますか?


ルーク  僕はDJだから早くクラブでプレイしたい気分だね。どちらかと言うとオールドスクールっぽいレコードだけど、僕にとってはいい意味でシンプルな良い作品だと思うよ。


YosepH.jpgLuke Vibert 『YosepH』


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