世界で3,000台以上の導入実績を誇るDIGIDESIGN Icon。Pro Tools│HDを核に、D-Control ES/D-Command ESといったコンソール型コントロール・サーフィスなどを統合した統合型DAWシステムだ。本日、サウンドイン・スタジオにてIcon D-Controlシステムを用いたセミナーが催されたので、その模様をレポートしていきたい。
今回のセミナーの目玉として、エンジニア森田秀一氏を迎え、アーティストのオーバーダビングをIconで行うデモンストレーションが実施された。物理的に音声が通るコンソール・システムが無い中でも、Iconで録音からミックスまで対応するスムーズなワークフローをアピールしていた。
そして機材的な注目は、本日正式にお披露目となったXmon-J。Iconのモニター系統を司る2Uラック・タイプのモニター・システム、Xmonの日本バージョンだ。Xmonは最大8chのメイン入力×2系統+外部ステレオ入力×4系統、ステレオ3系統のCUEを持つシステムだが、現場からの要望を受け、日本のスタジオ環境に合った使いやすさを追求してこの度、改良が施された。モディファイを担当したのは、音響ハウスの須田淳也氏である。
▲Xmon-Jのモディファイを手掛けた音響ハウス技術開発室 副部長・須田淳也氏
Xmon-Jの外観に特に変化は見られないが、須田氏は「コミュニケート系統を強化した改良」と語る。鍵を握るのは内部回路だ。別掲の図を見てほしいのだが、まずメイン・ミックスがCUE1とSLS(スタジオ・モニター)へ直接送れるように改良されている。これによって、外部入力とは別に、キューボックスにPro Toolsのメイン・ミックスだけを単独で送ることができるようになったのが最大のメリットだ。従来のXmonでも、Pro Tools I/O側のチャンネルを別途用意すればメイン・ミックスの単独リスニングはできたが、この分岐をXmon-J内部でやってくれるわけである。
さらにSLSに送るトークバックの音量を独自にコントロールできるようになった。音量を調節できることで、スタジオ・モニターとトークバックでのハウリングが抑止できることになる。また、リッスン・バックをライン・レベルにすることでS/Nの向上を図っているのも改良点。リア・パネルにも少々変更があり、「EXTERNAL METER」として最大8chのVUメーター・アウトが追加された。
このXmon-Jに関連して、オプションとして2chのVUメーター・ユニット、トークバック・スイッチ、そしてディレクター用のワイアレス・コントローラーも紹介された。これらも須田氏が開発を手掛け、Xmon-Jの使いやすさを向上させるツールとなっている。
Xmon-Jは既に受注を開始しており、従来のXmonからの有償バージョン・アップもスタンバイ。さらに、このXmon-Jも含むIcon統合システム「Icon Rec」も発表された。2004年の登場からじわじわとシェアを広げてきたIcon。このXmon-Jによって、国内でのさらなるシェア獲得に向けた姿勢を大きくアピールしたと言えるだろう。
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