
エイフェックス・ツインはじめ、LFO、オウテカ、スクエアプッシャー、プラッドを擁し、90年代のUKテクノ・シーンを牽引したWARP レコーズ。2000年に入っても、プレフューズ73、!!!、バトルズ、フライング・ロータス、ハドソン・モホークと強力なメンツを輩出し続けている WARPが、今年で20周年を迎えた。来たる11月21日に幕張メッセで行われる記念イベント「electraglide presents Warp20」を目前に、WARPアーティストたちの貴重な過去インタビューをお届けしよう。第一回目はスクエアプッシャー!!
[この記事は、サウンド&レコーディングマガジン1997年7月号のものです] Translation:Ryoko Ito
テクノ界に突如現れた弱冠22歳の風雲児、スクエアプッシャー ことトム・ジェンキンソン。ドラムンベースと生ベースの融合により一躍脚光を浴びるきっかけとなった1stアルバム『フィード・ミー・ウィアード・シング ス』に続き、2ndアルバム『ハード・ノーマル・ダディ』では、今まで以上にフュージョン、ジャズ、ダフ、アシッドなどの幅広い要素を混ぜ合わせ、もはや カテゴライズ不能なサウンドを聴かせてくれている。もちろんテクノ・シーン外からも熱い注目を受け、インタビュー嫌いになってしまったという彼だがあらためて普段の音楽制作のことなどについて聞いてみた。
シーケンスはすべてBOSS DR-660で作っている
■テクノに生ベースを重ねるというアイディアが、まず多くの人々があなたに注目した理由だと思いますが、ベースはいつごろから弾いているのですか?
トム 12歳くらいのときに始めた。何となく弾いてみたくて最初から独学で覚えたんだ。バンドにも居たよ。ジャズやファンクのバンドなど、ここでは全部挙げられないくらいのたくさんのバンドに居た。でもどのバンドも自分のやりたいことができなくて、結局今こうして一人でやってる。
■では、あなたがエレクトロニック・ミュージックに興味を持ったきっかけは?
卜ム 1990年くらいのアシッド・ハウス、ブレイクビーツやハードコア・テクノだね。友達にDJが居て、そいつの家でいろいろ聴かされてた。
■エイフェックス・ツインに影響されたと公言していますが、初めて聴いた彼の曲は何でしたか?
トム 確かパーティで聴いたんだけど、『アンビエントワークス』の曲かな。彼の一番のアルバムさ。とてもクールなサウンドだよ。
■やはりあなたと彼のサウンドに共通するものはあると思いますか?
トム 多分ね。あるとすれば実験的な姿勢かな。
■実際にあなたがエレクトロニック・ミュージックを作り始めたのはいつごろですか?
トム 17歳のころだね。2つのテープ・マシンと今も使っているROLAND SH-101と、ベースを使って曲を作っていた。何て呼んだらいいのか分からないけど 、ダブっぽい実験的なものだったな。2つのテープ・レコーダーを交互にダビングして、サウンドを重ねていきながら作っていたよ。
■シンプルなセットですね。
トム 今も大して変わらないよ。今の僕の自宅スタジオにある機材だって、SH-101と、サンプラーAKAI S950と、リズム・マシンBOSS DR-660、SOUNDCRAFT SpiritFolioの12チャンネル・ミキサー、FOSTEXの8トラック・レコーダー、あとエフェク卜・ユニットくらいなんだ。
■シーケンサーは何を使っているのですか?
トム すべてDR-660でプログラミングしている。
■曲を作るときのプロセスを教えてください。
トム 曲によってそれぞれだけど、多いパターンはベースから作り始めるんだ。ベースでいろんなコードを弾いているうちに、幾つかの細かいフレーズが思い浮かぶ。 そのそれぞれの相性のいいものをくっつけて、さらにそれと相性をいいサンプルのネタを探すという感じさ。もっとデジタル的要素の強い曲は、ゼロから始めることが多いね。
■シーケンス部分は前もってきっちり作り込みますか? それともミックスで変えるのですか?
トム ミックスではほとんど変わらない。前もって作ってある場合が多いよ。もちろんベースを乗せることを考えてプログラミングするんだけどね。
■あなたの曲に関しては、やはりベースが一番重要な位置を占めるのでしょうか?
トム そうだね。僕はベースを通して音楽を学んだ。リスムやメロディに至るまで、全部ベースを通して学んだんだ。もし、ベースに出会っていなかったら、僕は今ここにいないと思うよ。
■ベースは何を使っていますか?
トム FENDER Jazz Bassのフレットレスが2つ、あとはIBANEZのRoadstar IIとMUSICMANのStingRay。StingRayは買ったばかりで、今までの録音で使っていたのはFENDERなんだ。
■生で弾いたベースをシーケンスにうまく溶け込ませるテクニックはありますか?
トム 僕は8トラック・レコーダーを使って、テープ・シンクでシーケンスを重ね、さらにベースをレコーディングしている。言えることはこれだけさ。とにかくひたすらいいサウンドに近付けようと思って作業する。僕が興味があるのは結果のみで、技やテクニックには全く興味ないね。技術的に型にはまると、どれも曲が同じになってしまう。僕は自分の扱う機材に"適応"するんだ。自然に自分で、自分なりの扱いかたを覚えていく。
■今後はどんな音楽を作っていこうと思いますか?
トム 自分にとってエキサイティングなものを作っていきたいね。実はまたバンドも始めようと思ってるんだ。個人的に楽しむために。だからリリースや録音の予定はないけどね。
>>スクエアプッシャー 発掘interview【2】(1998年)へ続く
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