SP-404MKIIが表現を引き出してくれる。この1台で人生が変わった感じです
SP-404MKIIに備わったDJ Mode。その機能を駆使して国内外でDJプレイを魅せているのがMayumikillerだ。今ではSP-404MKIIのワークショップも主催している彼女に、SP-404MKIIでDJをする理由を聞いてみた。
DJ機材とは異なる動きが生まれる
──SP-404を使うようになったきっかけは?
MK 音楽とウェアのセレクト・ショップ“LOSER”を大阪で運営していて、そこでさまざまなアーティストにパフォーマンスをしてもらっているんです。その中にSP-404ユーザーもいて、私はセッティングの手伝いをしたりしていたので、そこで初めてSP-404に触れた感じですね。私自身はバイナルやPCDJでプレイをしていたんですけど、あるきっかけでRolandスタッフの方々と知り合い、2022年の11月に初めてSP-404MKIIを手に入れました。
──そのときからDJ Modeを使いはじめたのですか?
MK 実はしばらく寝かせていたんです(笑)。というのも、今はアップデートを重ねてDJ Modeも進化したのですが、当初は曲をSDカードからインポートできなくて、PCDJに慣れた身としては不便に感じてしまって……。でもせっかく手に入れたので、2023年に東京で行ったLOSER TOKYOというライブ・イベントで使おうと決心したんです。その際も、まだまだ慣れない感覚はあったのですが、しばらくしてRolandの白土(健生)さんからYouTube動画への出演依頼もあって、数カ月の間にかなりDJ Modeを勉強しました。白土さんからは“DJ Modeをどうしても入れたかった”という、とても強い気持ちがあったことを聞いていて、そんな思いを受けて私自身も“SP-404MKIIでDJをやらないと!”という使命感を抱いたんです。
──SP-404MKIIでDJを始めて、どういう点が気に入ったのでしょうか?
MK 触っているうちに、とても直感的に扱える機材なんだと気づきました。これまでバイナルやPCDJでいろいろな現場を経験してきましたが、そのときには得られなかったモチベーション、出せなかったスタイルをSP-404MKIIが引き出してくれる感覚があるんです。DJ専用の機材と比べるとできないことはもちろんあるのですが、これまで想像もしなかったような表現ができて面白いです。
──エフェクトのパフォーマンスなど?
MK そうですね。DJ機材を使っているときとはまた違ったパフォーマンスの動きになるんです。これまでDJでエフェクトはそんなに使っていなかったのですが、SP-404MKIIにはたくさんのエフェクトがあり、自分が思い描いていたことを実現できるものが見つかるんです。
低域の抜けと太さが段違い
──ほかのDJがデッキ2台とミキサーを並べたスタイルの中、SP-404MKIIを1台だけ置いてDJするというのも勇気が必要ですよね。
MK でも実際にプレイしてみると、これまでにはなかったような反応がフロアから返ってきたんです。まさにぶち上がるという表現が合うような盛り上がりで、私自身も驚いてしまって。SP-404MKIIでのプレイがきっかけでいろいろな方に注目していただけるようになり、コーチェラ・フェスティバル2024にも出演できました。
──SP-404MKIIがその道を切り開いた感じですね。
MK 自分の中に眠っていた何かをSP-404MKIIが引き出してくれた感覚。この1台で人生が変わっちゃったなと。
──エフェクト・ボタンにはどのようなものをセットしていますか?
MK その時々で変えていますが、Ko-Da-Maなどディレイ系は絶対入れていて、あとはScatterをかなり使っていますね。ほかにもDJFX LooperやIsolatorも活用しています。
──曲のセットアップはどのようにしているのでしょうか?
MK SP-404MKIIに曲を読み込み、頭出しなどの編集作業は本体上で行っています。波形はあまり見ずに、耳で判断して調整しますね。“視覚情報に頼らないこと”が良いパフォーマンスにつながっているというのもSP-404MKIIを使いはじめて気付いた点です。
──出音についてはどんな印象でしょうか?
MK 実はめちゃくちゃ音が良いんです。SP-404を使っている人は、目で見なくとも音で分かりますよ。ドラムの低域の抜けが良く、太さも段違い。SP-404MKIIのDJでフロアの反応が変わったというのも、パフォーマンス面だけでなく、その出音の影響も大きかったと思うんです。プレイするときは、スーッと引いてドン!とインパクトを与えるような曲を意図的に選ぶことが多いんですけど、そのドン!という音を鳴らしたときの響きは、SP-404MKIIでしか得られない。フロアの人たちが衝撃を受けているのを、この目で感じられるんです。あと、DJ Modeでテンポやピッチを変えたときの音質も素晴らしい。PCDJではその音の変化に納得できないこともあったんですが、SP-404MKIIはとても奇麗にテンポもピッチも追従してくれます。
──MayumikillerさんはSP-404のワークショップも行っていますね。そこではどのようなことを教えているのでしょうか?
MK 私はDJ Modeを中心にレクチャーしていますが、ほかに協力してもらっているビート・メイカーには曲作りやライブを教えてもらっています。もともとSP-404を使っていた人はもちろん、初めて触ってみるというような人も参加してくれていますね。SP-404MKIIは、試してみたいという気持ちを阻害しないデザインになっているような気がしています。
──このコンパクトな筐体は愛着も湧きやすそうですよね。
MK ティーヴスもそう言っていましたね。コンパクトなSP-404は持ち運びやすいし、LAの独特なファットさを表現しやすいと。しかもツアーで使い続けても安定して動いてくれる。このサイズ感に無限大の可能性を秘めている、とても魅力的なマシンなんです。