Yota MoriのソロプロジェクトAcidclankのモジュラー・シンセを徹底解剖。最新作『In Dissolve』の音作りについても解説します。
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制作に特化した実験的モジュール群
制作用とライブ用、2種類のシステムを構築して使用するAcidclank。下の写真は制作用のラックで、上段にはMUTABLE INSTRUMENTSのさまざまなモジュールが組み込まれている。ケースは、最大252HP分のモジュールをマウントできるDOEPFER A-100。
制作用システムとしてDAWとの連携をスムーズに行えるようにしており、中段の左端にはUSBオーディオ・インターフェース・モジュールのEXPERT SLEEPERS ES-8を配置。ADAT接続によって、デスク上のオーディオ・インターフェースRME Babyface Pro FSの入出力を拡張している。また、ENDORPHIN.ES Shuttle SystemのShuttle Controlセクションでは、DAWからのMIDI信号をアナログ信号に変換している。
最新作『In Dissolve』収録の「Hide Your Navel」では、ガムランのフレーズの裏で、MUTABLE INSTRUMENTS RingsとPlaitsから鳴らしているフレーズも収録している。作成方法として、まずはMarblesでランダム生成したフレーズをABLETON Liveに録音し、オーディオをMIDI化。そのMIDIをMIDI ch1とch2に分けて、さらにShuttle Controlからゲート、トリガー、ピッチ、ベロシティと4系統に役割を分けて出力し、RingsとPlaitsそれぞれに入力している。RingsとPlaitsには、LFOのINSTRUO/DIVKID Ochdでピッチに揺らぎを与えるなどの加工も行っている。各オーディオ出力はミキサーの2hp Mixにまとめた後、Shuttle SystemのGrand TerminalセクションでフィルターやNOISE ENGINEERING Imitor Versioでエフェクトをかけている。不思議な魅力をまとったパーカッシブ・サウンドが出来上がっており、楽曲を聴いてぜひ確かめてもらいたい。
卓越したライブ・パフォーマンスと、マッドチェスター・テクノを基調にしたメロディアスな曲で注目を集めるYota Moriによるソロ・プロジェクト。ソロ、バンドなど、活動形態やジャンルを流動的に変化させながら、精力的に活動する。2023年、TFoMにソロ・セットで出演。今年2月にニュー・アルバム『In Dissolve』をリリースした。
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