Yebisu303のモジュラーシンセを公開! 〜M8 Trackerとモジュールの連携で構築されるライブ・システムに迫る

Yebisu303 system

VRコンテンツ楽曲やアニメ劇伴まで手掛けるYebisu303が日々のマシン・ライブで使うモジュラーシンセのシステムを詳しく紹介します。

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トラッカー・デバイスを司令塔にしたライブ・システム

 60HPのサイズを持つドラム/パーカッション・シンセのMOOG DFAMと、ROLAND TR-808のクローンであるSYSTEM80 880が目を引くYebisu303のモジュラー・システム(上掲の写真)。MIDIシーケンスとMIDIクロックの出力はDIRTYWAVE M8 Trackerで行われ、モジュラー・シンセで鳴らされた音は最終的にM8 Trackerへ戻り、内蔵リミッターを通して出力される。

 ANATEK Pocket Thruは、M8 TrackerのMIDI信号をHEXINVERTER ÉLECTRONIQUE Mutant Brainと880へ分配するスプリッター。Mutant BrainはMIDIノートをCV/Gateへと変換してほかのモジュールへと送る。880はメインのリズムを担当し、ゴースト・ノート的な要素をDFAMで鳴らしているそうだ。

 音高と音価が相互に影響しあう独自のアルゴリズムのウェーブテーブル・シンセSDKC INSTRUMENTS Helicalは、アドリブ的なニュアンスを出すモジュールとして活躍。スケールを設定できるので、音楽的な響きからはみ出さずにサウンドが生成され、シーケンスの密度は中央のノブでコントロール可能だ。

上段:

上段:MOOG DFAM(パーカッション音源)、SDKC INSTRUMENTS Addition(Helical拡張モジュール)、Helical(ウェーブテーブル・シンセ)、HEXINVERTER ÉLECTRONIQUE Mutant Brain(MIDIコンバーター)、PITTSBURGH MOD ULAR Multiple(パッシブ・マルチプル)、HAPPY NERDING FX AID XL(マルチエフェクト)、HIKARI INSTRUMENTS Atten/Mixer(アッテネーター/ミキサー)

 INTELLIJEL DESIGNS Atlantisは、ROLAND SH-101を基にしたモノ・シンセ。基本的にはオリジナルに忠実でありながら、フィルターの4/2ポール切替えが可能で、レゾナンスを上げても音量が安定するLP Boostスイッチが用意されているなど、実用的な改良が施されている点を気に入っているという。

下段:

下段:SYSTEM80 880(リズム・マシン)、INTELLIJEL Atlantis(シンセ)、BELA Gliss(コントローラー)

 HIKARI INSTRUMENTS Atten/Mixerは7chミキサー兼アッテネーターで、モジュール全体のサウンドをここでミックスし、M8 Trackerへと戻している。スライダーで音量を確認しながら調整できるところが便利だそうで、CVソースとしても利用できるなどの多機能さもYebisu303は評価していた。

るDIRT YWAVE M8 TrackerとANATEK Pocket Thr u

モジュラー・シンセと共に活用しているDIRT YWAVE M8 TrackerとANATEK Pocket Thr u。M8 Trackerはトラッカー・タイプのシーケンサーとシンセ、サンプラー機能を備えたハードウェアで、そのMIDIアウトがPocket Thruに接続されている。Pocket Thruでスプリットされた信号はMutant Brainと880へ送られる

別のケース

別のケースにはROSSUM ELECTRO-MUSIC Panhar monium(リシンセサイザー)が組み込まれている。後段のMAKE NOISE QPASでフィルター処理を行っているようだ

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【Yebisu303プロフィール】
アシッド・ハウス、デトロイト・テクノ、エレクトロ、ハード・ミニマルに強い感銘を受け、20代後半よりトラック制作を開始。無類のハードウェア愛好家で、日々マシン・ライブや機材デモ動画制作を行う。近年ではVRコンテンツの楽曲やアニメ劇伴を手掛けるなど、活動は多岐にわたる。

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