コントラバスと電子音によるサウンドスケープを奏でる音楽家=千葉広樹の、モジュール構成とパッチングを解説します。
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制約を解き放つ厳選モジュール
主に制作用として使用する千葉広樹のモジュラー・シンセ・システム。コロナ以降に現在の構成になり、クラシックの和声構造をいかにしてシステムの中だけで生み出せるか、などの取り組みにトライしているとのこと。
MUTABLE INSTRUMENTS Plaitsは、パネル右側のノイズ/パーカッション音源を主に使用。デジタルならではの複雑なパラメーター調整が可能だ。ランダム・ジェネレーターMAKE NOISE Wogglebugはクロックとして用いることが多く、不安定さがお気に入りという。MICHIGAN SYNTH WORKS PachinkoはMUTABLE INSTRUMENTS Marblesのクローン。ランダムな音階作りなどに使用する。
MAKE NOISE DPOはコンプレックス・オシレーターで、2つのオシレーターを組み合わせることで単体でも複雑なモジュレーション・サウンドを生み出すことができる。DOEPFER A-138はDPO用のミキサー。MAKE NOISE Mysteronは物理モデリング音源のオシレーターで、ドローンを作るのに向いており、好みのモジュールとのこと。AFTER LATER AUDIO Benjolin V2は、オシレーター、ステップCVジェネレーター、フィルターなどがまとまったマルチモジュール。ミキサーのCATOFF XOTには、インプットのモジュールとして4ch分のXINで拡張している。AUXやパンを備えているのが便利とのことだ。
写真では、WogglebugをクロックにしたPachinkoのCV/Gateを、Mysteronに接続。Benjolin V2はOSC 1のパルス波を、同機のOSC 2のCV PITCHに出力し、2つの音を行ったり来たりするような効果を作っている。最終的にXOTには3ch分の入力と、AUXとしてMUTABLE INSTRUMENTS Cloudsのリバーブも使用している。
1981年生まれ、岩手県出身。ベーシスト/作曲家。コントラバスと電子音によるサウンドスケープを奏でる音楽家。優河 with 魔法バンド、蓮沼執太フィル、サンガツ、スガダイロートリオ、王睘 土竟、Isolation Music Trioなどで活動。多数のレコーディングにも参加する。
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