HATAKENのモジュラー・シンセを公開! 〜DAWのような操作性を実現したシステムとは

HATAKEN system

1990年代より活動する電子音楽家/演奏家のHATAKENの、モジュール構成とパッチングを解説します。

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DAWライクな柔軟性をモジュラーで実現

 上掲の写真は、膨大なモジュールを持つHATAKENがライブ用に組み込んでいるモジュラー・シンセ。メイン・ミキサーの1010MUSIC BlueBoxとそれをリモート・コントロールするNOVATION LaunchControl XLにより、DAWのような操作性を実現したシステムだ。 

上段

上段:MALEKKO HEAVY INDUSTRY Varigate 8+(ゲート・シーケンサー)、Voltage Block(CVシーケンサー)、4MS Ensemble Oscillator(オシレーター)、2hp MMF(フィルター)、WMD Crator(キック音源)、2hp Filt(フィルター)、BEFACO Oneiroi(マルチモジュール)

上段の左上には、HATAKENがモジュラー・シンセに触れるきっかけとなったMALEKKO HEAVY INDUSTRYのVarigate 8+とVoltage Blockの姿が。Varigate 8+はCVとGate、Voltage BlockはCVシーケンスを出力できる。どちらもスライダーで操作できるのがやりやすくて気に入っているとのこと。

 4MS Ensemble Oscillatorは倍音/和音構成を変化させられるポリフォニック・モジュール。メイン写真ではVoltage BlockからEnsemble OscillatorへCVが送られており、BELA GlissでScaleをコントロールすることで変化に富んだシーケンスを演奏できる。

 BEFACO OneiroiはVCO、VCF、VCA、エフェクト、ルーパーを備えたオールインワンのシンセ・モジュール。複雑なアンビエントやドローン・サウンドが一台で作れるが、HATAKENはBlueBoxにセンド&リターンでOneiroiを接続しており、ほかのモジュールに対して外部エフェクトとして使えるようにルーティングしている。同様に、MUTABLE INSTRUMENTS BeadsもBlueBoxのAUXエフェクトとしてセットされているようだ。

下段

下段:BELA Gliss(コントローラー)、ERICA SYNTHS Pico Trigger(トリガー・シーケンサー)、Pico Drums(ドラム音源/サンプラー)、MUSIC THING MODULAR Radio Music(サンプラー)、WINTER PLANKTON Zaps(パーカッション音源)、ERICA SYNTHS Pico VCO(オシレーター)、NOISE ENGINEERING Basimilus Iteritas Alter(オシレーター)、JAK PLUGG NanoRings(レゾネーター)、MUTABLE INSTRUMENTS Beads(テクスチャー・シンセ)、Ripples(フィルター)、XAOC DEVICES Zadar(エンベロープ・ジェネレーター)、INTELLIJEL DESIGNS Plonk(フィジカル・モデリング音源)

 MUTABLE INSTRUMENTSのサウンドが好みだというHATAKENは、同社Ringsを基に開発されたJAK PLUGG NanoRingsを使用している。オーガニックな響きはNanoRingsが担当し、金属的なパーカッシブ・サウンドはNOISE ENGINEERING Basimilus Iteritas Alterで作るとのこと。

別ケース

別ケース:4MS Listen Four(ミキサー)、1010MUSIC BlueBox(ミキサー)

NOVATION LaunchControl XL

NOVATION LaunchControl XLはBlueBoxのリモート・コントローラーとして活用。BlueBoxのタッチ・パネルの代わりに物理フェーダーとノブで操作することで、直感的なパフォーマンスを実現している

別のラックに組まれたモジュラー・システム

別のラックに組まれたモジュラー・システム。ROSSUM ELECTRO-MUSIC Panhar moniumはリシンセサイザーと呼ばれ、素材の周波数特性を解析してサウンドを再生成するモジュールだ。左下は1010MUSIC FXBoxだが、ファームウェアをBit Boxに変更してサンプラーとして使用している

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【HATAKENプロフィール】
1990年代より活動する電子音楽家/演奏家。2013年からTokyo Festival of Modular(TFoM)をデイブ・スキッパーとともに毎年開催。世界中のモジュラー・シンセ・メーカーや、モジュラー・シンセを演奏するアーティストを招き、国内でのモジュラー・シンセの普及に努めている。

 

 

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