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音響ハウスのテクニカルエンジニア須田淳也が選ぶKLH Ultimate One【特集】私の愛するヘッドホン2024

sudajyunya headphone

 現代の音楽制作に欠かせないツールとなったヘッドホン/イヤホン。「制作の大半をヘッドホンでこなす」と言うクリエイターやエンジニアが増えており、それに呼応するように各メーカーからも魅力的な製品が登場している。ここでは音響ハウスのテクニカル・エンジニアとして、長年その手腕を振っている須田淳也が登場。KLHをはじめ、幾つものヘッドホンを使い分けているようだ。

KLH Ultimate One

 50mmのピュア・ベリリウム・ドライバーを搭載し、18Hz〜22kHzというワイドな周波数特性を特徴とする。高級なラム・スキンやカウハイド・レザー、ゼブラウッドを使用したデザインも目を引く。

【SPECIFICATION】
●型式:オープン・ダイナミック型 ●インピーダンス:32Ω ●最大音圧:108dB SPL ●周波数特性:18Hz~22kHz ●重量:340g

中高域の明るさとエネルギッシュさが魅力

 よく使っているのが、2年前ほどに購入したKLH Ultimate Oneです。ハイエンドなモデルと比べると全体の情報量や周波数帯域は狭いかもしれませんが、中高域の明るさやその解像度、エネルギッシュさは目を見張るものがあります。ビンテージ機器のメインテナンスではシビアに聴くことも必要ですが、音楽的な再生能力も重要視するので、Ultimate Oneはそれを判断するためのリファレンスとして活用しています。

VICTOR HA-MX100-Z。モニターライクな鳴り方で、タイトな低域やレスポンスの良さが特徴とのこと。メインテナンス時の音の判断がつきやすいという

 VICTOR HA-MX100-Zも6年ほど使っています。こちらは解像度が高く、中域部分やひずみ感、ノイズのチェックでは必ず使っているモデルです。Ultimate Oneと比べると、もう少し客観的に音を聴けるモニターライクなサウンドだと言えます。

イマーシブ・オーディオ制作も視野に入れて開発されたOLLO AUDIO S5X。オープン型で、限りなくフラットな特性を目指して設計されている

 OLLO AUDIO S5Xはスピーカーのような鳴り方で、圧迫感もなく、音像も少し前方に定位してくれる印象です。リスニングにもピッタリだと思いますね。イヤー・パッドが厚くて高さもあるので、耳とドライバーとの間に一定以上のスペースがあるんです。これによって空間を感じる音になっているのかもしれません。

ヘッドホン・アンプのVIOLECTRIC DHA V590 Pro。須田いわく、“質実剛健で、色気よりもクールでバーンと押し切るようなドライブ力がある”とのこと

 ヘッドホン・アンプは非常に緻密で分解能が高いVIOLECTRIC DHA V590 Proを使っています。ヘッドホン・アンプの性能で、ヘッドホンのパワー感や解像度、音像のレイヤー感がかなり変わるので、音に悩んでいる人はヘッドホン・アンプもこだわってみてほしいです。

須田淳也
大の音楽好きのテック・エンジニアで約30年のキャリア。とりわけビンテージ機材に強く、マイクをはじめ、修理するだけではなくオリジナルの良さを生かしたチューニングも行う。さらに機材販売やビルの構造管理まで受け持つ、何でも屋的な立ち位置。

 

製品情報

KLH Ultimate One

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