現代の音楽制作に欠かせないツールとなったヘッドホン/イヤホン。「制作の大半をヘッドホンでこなす」と言うクリエイターやエンジニアが増えており、それに呼応するように各メーカーからも魅力的な製品が登場している。ここではヒップホップ、R&B系の作品を数多く手掛けるエンジニア、murozoが登場。近年ではイマーシブ作品のプロダクションにも携わる彼が、仕事でもリスニングでも最も使っているというヘッドホンがAPPLE AirPods Maxだ。
APPLE AirPods Max
独自設計のダイナミック・ドライバーや8つの内蔵マイクによる高精度のノイズ・キャンセリング機能を搭載したヘッドホン。空間オーディオを個別最適化するパーソナル・プロファイル作成機能も備えている。
【SPECIFICATION】
●型式:密閉ダイナミック型 ●ドライバー・サイズ:40mm ●重量:384.8g
好きなジャンルを一番楽しく聴ける“友達”
使いはじめたのは2021年の6月です。その頃Dolby Atmosがストリーミング・サービスで配信開始されて、再現性が高いヘッドホンを探していると、発売直後のAirPods Maxが推奨されていたんです。それで、もしモニターとして良くなくても普段使いができそうだと思い購入しました。それが今ではリスニング用でもモニター用でも一番使っているかもしれません。
モニターを選ぶ際は低域の再現性を重視しています。普段はサブウーファーも使っているのですが、AirPods Maxは体感的に一番近い鳴りだと感じました。ROLAND TR-808の“テイルの伸び方”などがとても見やすいんです。高域は少し強めだけどバランスが非常に良く、サウンドはクリア。それとノイズ・キャンセリング機能の精度も高い。没入感がほかのヘッドホンとは次元が違い、かなり音に集中できます。僕は仕事以外の時間もほぼ音楽を聴いているのですが、好きなジャンルの音楽が一番楽しく聴けるヘッドホンがいいし、かつ普段聴いているサウンドを自分でもミックスで作れたら本望じゃないですか?
気付けば4年近く使っていてボロボロです。だけど、“これで一番いっぱい音楽を聴いたな”って愛着がある。もう、友達ですね。新モデルには大幅なアップデートはないようですが、今後どう進化していくのか楽しみです。
murozo
レコーディング、ミックス、マスタリングに加え、Dolby Atmosや360Reality Audioによるイマーシブ作品にも携わるエンジニア。先進的なヒップホップやR&Bを得意とし、近年では国内海外問わずポップスも数多く手掛けている。
Recent Work
『Sea of Love』
Yo-Sea
(AOTL)
※murozoはDolby Atmosミックスを担当