「トランスフォーマー・スクラッチ」テクニック解説
長い音ネタで音を切るスペースを確保
こんにちは、DJ IZOHです。今回は知ってる方も多いでしょう、有名なトランスフォーマーというスクラッチを紹介していきます。クロスフェーダーのオン（オープン）／オフ（クローズ）を素早く切り替えてスクラッチ・ネタを細かくカットする、いわゆるカット系スクラッチの最も基本となる技術ですね。
より高度なフレアーというスクラッチがやはり人気だし、若いターンテーブリストにはそちらばかり練習する人も多いですが、基本となるこのトランスフォーマーをおろそかにしてはいけません。
まず、使うスクラッチ・ネタは長い音を選ぶのが基本です。やってみると分かりますが、短いドラムや声などだと、カットできるスペースが短いのでお薦めできません。
フェーダーをたたく回数で音数が変わる
トランスフォーマーのクロスフェーダーはクローズ・スタートが基本となります。以前紹介したスタブ・スクラッチ、フォワード・スクラッチと同じで、人差し指と中指でつまみをたたく動作ですね。このたたく回数が、そのまま出る音の回数になるわけです。
❶基本スタンス
↓
❷たたいて音を出す
クロスフェーダーをたたくスピードは、16分音符（1/4拍）のタイミングが一般的です。これをレコードの押し引きの動きと合わせて行うわけですが、最初は押しのとき4回、引きのとき4回でたたく、つまり1往復で音が8個になるパターンが最も簡単です。
このとき、レコード側の手は2拍で1往復のベイビーになるわけですが、この手を1拍1往復にすると、たたく回数は押し2回＋引き2回（1往復で4個の音）になります。
このたたく回数やスピードとレコードのベイビーを変化させることで、いろいろなフレーズを作ることができます。
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いざ挑戦！「トランスフォーマー・スクラッチ」実践のヒント
カットの回数にアレンジを加える
いろいろなパターンを作ることができるトランスフォーマー・スクラッチですが、幾つかそのパターンを紹介していきます。動画を見ながらぜひチャレンジしてみてください。
①上述の押しで4回、引きで4回カットするパターンから、押しはリリースだけにして引きで4回カットする（2回でもOK）。初心者でも比較的簡単で使いやすいです。
②押しと引きでカットの回数を変える。例えば押しは遅めの1/2拍×2回、引きは通常の1/4拍×4回など。
③押しで2回、引き1回でカット（1往復で3個の音）。これは引きのとき、押しで2回カットした分の長さを1回のカットで頭まで引いてくるので、レコードの動きは押しより速くなります。連続すると拍に対してずれていくので、少し難易度高めです。
④押し1回＋引き2回でカット。こちらは③とは逆なので、レコードの引きの動きは押しより遅くなります。押しを速くしてもよいです。
⑤押し1回＋引き1回でカット。これは押し引きの最中はどこもカットされておらず、ちょうど折り返し点にだけカットが入りますが、それが最初なかなか難しいです。
⑥③と⑤の複合技。③を2回行い、その後⑤を1回行う。このパターン1回は合計で8個の音になるので2拍にちょうど収まります。これは中、上級者にもよく使われる有名なコンビネーションで、聴こえもカッコ良いのでお勧めです。
⑦押しで3回、引きで1回カットで、1往復中に合計4回カットする。
なお、図では分かりにくいですが、レコードの押しと引きが切り替わる瞬間は、その前がオープンだったとしても、必ずクロスフェーダーをクローズにしてからたたくようにしてください。
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技の最初に別のスクラッチを入れる
ほかにもいろいろな組み合わせ方があり、うまい人はさまざまなバリエーションを持っています。また、技の最初にスタブやフォワードなどを挟んでからトランスフォーマーに入ったり、3連符でカットする手法などもあり、ほかのスクラッチと組み合わせるとよりオリジナリティやグルーヴ感が増します。
上達してきたら、ぜひオリジナルのコンビネーションを作ってみてください。そうなるとスクラッチの本当の楽しさを味わえるでしょう。トランスフォーマー・スクラッチは、クロスフェーダー側の手がとても疲れるスクラッチです。疲れて動かなくなったら、クロスフェーダーをあまり使わない技の練習に切り替えたりして休ませながらやってみてください。
今月のまとめ
トランスフォーマーは長い音ネタを細かく刻む
回数や組み合わせ技でオリジナリティを追求
動画でチェック
今回紹介したテクニックを、DJ IZOHの実践動画でチェック！
【DJ IZOH Profile】ヒップホップ・スタイルにこだわるターンテーブリスト。世界大会入賞歴多数。2012年世界最大のDJバトル『DMC World Final 2012』優勝。第28代世界チャンピオンに輝く。DJスクール講師、プロ・バスケット・チーム“群馬クレインサンダーズ”アリーナDJとしても活躍中。
