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イマジネーションを逃さないためのCubaseのショートカット活用法|解説:みきとP

イマジネーションを逃さないためのCubaseのショートカット活用法|解説:みきとP

 こんにちは。音楽作家/ボカロPのみきとPです。STEINBERG Cubaseは、2009年にDTMを始めたときから一途に使っていまして、とてもカスタム性に富んだ扱いやすいDAWです。今回が僕の連載初回ということで、まずは自分がよく使用する便利なショートカットについてお話しさせていただきます。ぜひ試していただければと思います。

ホーム・ポジションに近いキーにショートカットを割り当てる

 まず前提として、僕はAPPLE Macの純正キーボードを使用していて、左下のCaps LockをCommandに変更しています(これはWindowsと似た仕様ですね)。僕の場合、Caps LockはミスってCaps Lockを押したときにしか使用しません。したがって、今回の記事で登場するCommandは、キーボードの一番左下にあります。割り当てキーについては、Macのシステム環境設定から“キーボード→装飾キー”を選択することで変更可能です。

APPLE Macのキーボード設定を行う画面。システム環境設定から“キーボード→装飾キー”を選択すると表示される。ここではCaps LockをCommandに変更している

APPLE Macのキーボード設定を行う画面。システム環境設定から“キーボード→装飾キー”を選択すると表示される。ここではCaps LockをCommandに変更している

●カーソル位置を選択範囲の左端に設定 : A

 最初にご紹介するのは、その名の通りカーソルの位置を選択した範囲の左端に移動させるショートカットです。これをホーム・ポジションから全く動かさない小指の位置にある“A”に設定することで、ものすごく作業効率が上がりました。カーソル位置を思ったところに速攻移動できるので、わざわざ上のタイムラインをクリックする必要がなくなります。

ショートカットの設定を行うキーボードショートカットの画面。メニュー・バーから“編集→キーボードショートカット”を選択して表示できるが、みきとPはこの画面を表示する過程もショートカットを設定しており、加えてCubaseの環境設定を表示するのにもショートカットを割り当てている。右画面からは“カーソル位置を選択範囲の左端に設定”が“A”に割り当てられているのが分かる

ショートカットの設定を行うキーボードショートカットの画面。メニュー・バーから“編集→キーボードショートカット”を選択して表示できるが、みきとPはこの画面を表示する過程もショートカットを設定しており、加えてCubaseの環境設定を表示するのにもショートカットを割り当てている。右画面からは“カーソル位置を選択範囲の左端に設定”が“A”に割り当てられているのが分かる

 これが素晴らしいのは、プロジェクトウィンドウ上のイベントだけでなく、MIDIのノートやオートメーションなど、すべてに適用されるところです。プロジェクトに存在する短いイベントも、選択さえできればそこへひとっ飛びして確認することができます。

目的のイベントを選択し、“カーソル位置を選択範囲の左端に設定”に登録したショートカット・キーを押せば、カーソルの位置(黄矢印)がそのイベントの左端に瞬時に移動する

目的のイベントを選択し、“カーソル位置を選択範囲の左端に設定”に登録したショートカット・キーを押せば、カーソルの位置(黄矢印)がそのイベントの左端に瞬時に移動する

●削除 : Command+スペース

 次は“削除”について。これも作業効率が爆速に上がるショートカットです。DeleteやBackSpaceでも削除はできますが、キーボードの右側にあるため一瞬目で見て確認する必要があります。しかし“Command+スペース”にショートカットを割り当てておくと、ホームポジションから指をあまり動かさずに、ノールックで削除することが可能です。Cubaseの場合、はさみツールでイベントを分割すると、分割した後半の部分が自動的に選択される仕様なので、例えば“ボーカル・イベントの音が途切れた部分をはさみツールで分割し、後半の無音部分を削除する”という手順を、最速で実行できます。注意として、Macの場合は“Command+スペース”でSpotlightが開いてしまう可能性があるため、Spotlightをほかのショートカットへ逃がしておく必要があります。

ショートカットを組み合わせて一瞬で作業ができる

 ここからは、“B”にまつわる、よく使う3つのショートカットをご紹介します。こちらもホーム・ポジションに近いという理由で、“B”を使用したショートカット・キーにしています。

●トラックを無効にする : Shift+B

 使わないトラックをオフにする機能です。よく使うので、そのたびにメニューから探すのは手間でした。久しぶりに探してみたら、20秒くらいかかりました……。

●選択イベントから独立ファイルを作成 : Option+B

 これは、例えばボーカル編集においてVariAudioの解析範囲をピンポイントに設定したいときなどに、部分的にイベントを新規に独立させるイメージで使用します。イベントが細かく分かれていたり、つなぎ目がシビアなトラックをどこかにマルっと貼り付けたいときにも、このショートカットは重宝します。イベントの編集履歴などが確定した状態で新たなイベントが生成されますので、その点は注意です。

左画面のようにバラバラに分割されたイベントを範囲選択ツールでまとめて選択し、“選択イベントから独立ファイルを作成”を実行すると、右画面のように選択した部分が結合した状態でイベントが上書きされる。“選択イベントから独立ファイルを作成”は、プロジェクトウィンドウ上部のメニュー・バーのAudioメニューから実行できるが、みきとPはショートカットを“Option+B”に割り当てている

左画面のようにバラバラに分割されたイベントを範囲選択ツールでまとめて選択し、“選択イベントから独立ファイルを作成”を実行すると、右画面のように選択した部分が結合した状態でイベントが上書きされる。“選択イベントから独立ファイルを作成”は、プロジェクトウィンドウ上部のメニュー・バーのAudioメニューから実行できるが、みきとPはショートカットを“Option+B”に割り当てている

●カーソル位置から最後まで選択 : Command+B

 これは、制作時、特に構成をアレンジしているときによく使います。“ここから後をとりあえず全部消したい”なんてときに、先程ご紹介した“カーソル位置を選択範囲の左端に設定”&“削除”と組み合わせて、“任意の場所にAでカーソルを移動→はさみツールで分割→Command+Bで分割した部分から後ろを選択→Command+スペースで削除”みたいな作業が、一瞬でできます。

 “ショートカットを登録しなくても、範囲選択ツールで選択して消せばいいのでは?”と思われるかもしれませんが、範囲選択ツールは当然びーーと狙って手動で選択しないといけませんよね。僕がお勧めするショートカットは、そういう一瞬の考えや操作を省くために使用していただければと思います。1秒でも積もれば大きな時間のロスになり、その間にイマジネーションを逃してしまう可能性もあるんです。

複数の機能を組み合わせてマクロを組むこともできる

 最後にご紹介するのは、組み合わせ(マクロ)のショートカットです。

●複数トラックをバス(グループ)に送る : Command+Shift+G

 通常は、F3キーを押してMixconsoleを開き、任意のトラックを幾つか選択した後、右クリックして初めて“選択チャンネルにグループチャンネルを追加”というメニューが出現するのですが、普段制作時にMixconsoleを開いていない僕にとっては、この数工程が面倒でした。このショートカットを使用すれば、体感では3倍の速さで直感的にトラックをバスにまとめることができます。当然、バス・トラックもさらにバスにまとめることができ、どんどん大きくしていくことが可能です。初心者の方は“バス、グループとは?”“どうしてバスにまとめるのか”という疑問が浮かぶかもしれませんが、そのお話は別の機会に。

Cubaseには、複数の工程を組み合わせてショートカットを設定できる“マクロ”という機能がある。右画面赤枠から“ミキサーにおいて、グループチャンネルのトラックを追加する”という工程がショートカット・キーに割り当てられていることが分かる

Cubaseには、複数の工程を組み合わせてショートカットを設定できる“マクロ”という機能がある。右画面赤枠から“ミキサーにおいて、グループチャンネルのトラックを追加する”という工程がショートカット・キーに割り当てられていることが分かる

●トラックを複製+トラック上のすべてを選択+削除 : Command+Shift+C

 普通にトラックを複製してしまうと、イベントも同時に複製されてしまいます。僕の場合、トラックを複製する目的として、そのトラックに挿さっているプラグインや、ボリューム、パンの情報などを複製したいことが多いので、このようにマクロを組むことで、トラックを複製後、イベントは空にしちゃいます。なかなか味のあるショートカットだなって思います。

赤枠から、トラックを複製し、トラック上のすべてのイベントを選択後、それらを削除するという一連の流れがショートカットに登録されていることが分かる

赤枠から、トラックを複製し、トラック上のすべてのイベントを選択後、それらを削除するという一連の流れがショートカットに登録されていることが分かる

 さて、今回は初回ということで僕のお気に入りのショートカットをご紹介させていただきました。また会いましょう。

 

みきとP
【Profile】2010年3月より、ネット・ミュージックのシーンにて活動を開始。ボカロPとして、ジャンルの垣根を越えた多様なVOCALOID楽曲を発表する。「いーあるふぁんくらぶ」「サリシノハラ」などのヒットを契機に海外でのイベント興行、本人歌唱でのライブやアルバム制作など、クリエイターとしてマルチに活動の幅を広げてゆく。2018年の「ロキ」や「少女レイ」などのヒットにとどまらず、音楽作家としてもアニメの主題歌やミュージカル、さまざまなアーティストへの楽曲提供を数多く手掛けるなど、幅広く活躍中。

【Recent work】

『NEPPUU〜熱風〜』
みきとP feat.初音ミク

 

STEINBERG Cubase

LINE UP
Cubase LE(対象製品にシリアル付属)|Cubase AI(対象製品にシリアル付属)|Cubase Elements 12:13,200円前後|Cubase Artist 12:35,200円前後|Cubase Pro 12:62,700円前後
*オープン・プライス(記載は市場予想価格)

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 11以降
▪Windows:Windows 10 Ver.21H2以降(64ビット)
▪共通:INTEL Core I5以上またはAMDのマルチコア・プロセッサー、8GBのRAM、35GB以上のディスク空き容量、1,440×900以上のディスプレイ解像度(1,920×1,080を推奨)、インターネット接続環境(インストール時)

製品情報

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