
魅力的なセミナーと展示コーナーで
Pro Tools環境の最先端を体感
会場となったのは東京・青山Future SEVEN。メイン会場でのセミナーは、12時の開演時点で早くもほとんどの席が埋まっており、イベントに対する関心の高さをうかがえた。第1部は “Pro Tools 12.5ミュージック・クリエイション・セミナー“と題し、RME、SOFTUBE、IZOTOPE、WAVES、NATIVE INSTRUMENTS、SLATE DIGITAL、PLUGIN ALLIANCEの製品の活用方法についてのプレゼンテーションが行われた。また、ロビーにはAVIDコネクティビティ・パートナーによる展示コーナーを設置。AVID製品のハンズオンほか、協賛メーカーがオーディオ・I/Oやプラグインなど多くの最新製品を展示しており、セミナーの合間に自由に立ち寄ることができた。
セミナー






展示ブース







業界の期待が高まるAVIDクラウド・コラボレーション
夕方からスタートした第2部では、待望のPro Tools 12.5クラウド・コラボレーションが話題の中心に。今までの共同作業はDropboxなどのファイル共有サービスを使用したり、USBメモリーなど物理的なメディアを使用してファイルを共有するというスタイルが一般的であった。しかしPro Tools 12.5に実装されたクラウド・コラボレーションは、そういったファイルを単位ごとに送るやり方ではなく、“楽曲のプロジェクトそのものをクラウド上で共有し、必要に応じてトラック単位でシェアできるところが大きな特長だ。

AVIDではここ約1年間、ソフト・シンセやエフェクトを使用したトラックを一時的にオーディオ化できるフリーズ機能や、それらをオーディオ化して別トラックにインポートするコミット機能をPro Toolsに実装してきた。これらはすでに他のDAWソフトには一般的に実装されていたものだが、Pro Toolsではこのクラウド・コラボレーションを見据えて作られていた。なぜなら、これらの機能を使用することで、コラボレートする相手が同じプラグイン・インストゥルメント/エフェクトを持っていない場合であってもプロジェクトの互換性を維持することができるからである。

AVIDクラウド・コラボレーションは、プロジェクト・オーナーに加え、同時に2名のコラボレ—ターがクラウド上で楽曲制作が可能で、コラボレ—ターの入れ替えは自由。Pro Tools 12.5ユーザーであれば、誰でも無料で合計500 MBのストレージが使用でき、最大3プロジェクトをクラウド上に保存することができる。なお、プロジェクトとクラウド容量の追加は有料となり、5プロジェクト/20 GBのストレージで月額1,200円、10プロジェクト/60GBのストレージで月額3,100円。この料金はプロジェクト・オーナーにだけが負担し、コラボレ—ターは費用がかからない。
クラウド・ストレージには信頼性の高いAmazon S3を使用。これとAVIDメディア・セントラル・プラットホームを組み合わせ強固で安全なクラウド環境を実現しているという。なお、ストレージに保存されるデータはロスレス圧縮され約70%も容量を制約できるそうだ。
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDによる
Pro Tools 12.5クラウド・コラボレーション実演

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND(以降TECHNOBOYS)は、サンレコなどが3月に開催したハイレゾリューション・フェスティバルにて、ライブ・コンソールAVID|S6Lを使った24ビット/96kHzのハイレゾ・ライブ・レコーディングの公開イベントを開催した。5月13日のAVIDライブ・サウンド・サミットでは、そのライブ・レコーディングの振り返るパネル・ディスカッションにも登壇している。今回もサウンド&レコーディング・マガジン編集人・國崎晋がモデレーターとして加わり、AVIDクラウド・コラボレーションの実演を行うことになった。TECHNOBOYSと佐藤氏は次のような設定で会場内の別々の場所に別れてセッティングした。
佐藤氏&石川
ステージ上をPro Tools|HDXを使用した佐藤氏のプライベート・スタジオとし、石川がシンセや電子ドラムをレコーディングをするという設定。
フジムラ
海外に出張中という設定で、別室から佐藤氏のプロジェクトに参加。ベースのレコーディングやリズム・パターンの編集などを行う。
松井
MacBook Proを外に持ち出し、Wi-Fi環境がある場所でどこでも作業ができる状態。サウンド・ライブラリーからリズムやSEなどを加える役割。
コラボのベースとなるのは楽曲はTECHNOBOYS代表曲「Visible Invisible」。今回特別に用意されたベーシックなトラックのプロジェクトに、TECHNOBOYSの面々がAVIDクラウド・コラボレーションで、新しいトラックを次々追加。ゴージャスなサウンドに仕上げていった。また、途中、アーティスト・チャット・ウィンドウでコミュニケーションを取り、そのメンバー同士のやりとりに会場が笑いに包まれる場面もあった。






今回のデモをほぼノーカットにて映像収録したものが下記である。とても濃くユーモアあふれる内容となっているのでぜひご覧いただき、AVIDクラウド・コラボレーションの魅力について実感してもらえれば幸いだ。
TECHNOBOYSは以前からファイル・サーバーを使ったファイルのやりとりで音楽制作を行ってきたが、フジムラは“AVIDクラウド・コラボレーションを使えば、トラック単位で共有できるので明らかに作業がスピードアップしたなと体感できる”とコメント。また、佐藤氏は最後に"今回のセミナーではリアルタイムで同時に作業を行ったが、全員が同じ時間を共有する必要はない。それぞれの都合にあわせて完成に向かえるということはクリエイティブかなと思います”と語っていた。