音楽制作初心者のRIKOが、アーティスト/音楽プロデューサーのJUVENILE先生から音楽の作り方を学ぶ『RIKO & JUVENILE先生と学ぼう!はじめての音楽制作』の後編。 前回までで、RIKOが持ってきたメロディにドラムが加わりました。今回はベースを入れていきます。
Text : Yuki Komukai Photo:Chika Suzuki
前回はこちら
前編では、ゼロから機材をそろえるポイントを順に紹介しています
ここまでの進捗
ベース音源をドラッグ&ドロップして、音階を変えて演奏する
ヒップホップでよく使うベースって、“808”(ハチマルハチ、またはヤオヤと読む) ってやつなんですね。話すと長くなるんですけど。とりあえず、 “808”というのを覚えておいてください。
サンプル音源を検索&ダウンロードできるサブスクリプション・サービス、Spliceの画面。“808”で検索した結果が表示されている。“808”とはRolandのリズムマシンTR-808の略称で、そのベースサウンドがヒップホップをはじめとする楽曲によく用いられる
とりあえず、ここから適当に音を選びましょう。ベースは、Cubaseの“サンプラートラック”を使って打ち込んでみますか 。
ドラムを打ち込んだときに使ったサンプラーソフトは、“このパッドにはキック、こっちにはスネア”っていう感じで、複数の音を割り当てて演奏しましたよね。このサンプラートラックはそうではなくて、1つの音に音階をつけてくれます 。
ふむふむ。
Cubaseの機能である、サンプラートラック。大きく波形が表示されている部分に、音源をドラッグ&ドロップすると、その音が画面最下部に表示されている鍵盤の、“C3”に割り当てられる。そのまま鍵盤を演奏すれば、音階を奏でることが可能
音をドラッグ&ドロップするだけですぐに音階を演奏できるんですけど、注意しなきゃいけないのは、今“ド”だと思って弾いている音が、“ド”じゃないかもしれない ということ。
ん......?
音をドラッグ&ドロップすると、自動的に鍵盤の“C3=ド”の位置にその音が割り当てられるので、元の音が“ド”じゃなかったら、ずれちゃうんですね。
なるほど! はい!
今回選んだベースの音源ファイルには、“F”って書いてありますね。だから、“C3= ド”の位置に、“F=ファ”が割り当てられちゃっている状態。だからこれを調整してあげる必要があります。
赤枠の部分で調整ができる。今回のようにFの音をドラッグ&ドロップしてしまった場合は、ここをF-3に変更すればOK
はい!
面倒であれば、最初から“C”って書いてある音を選べば、間違いはないですね。
曲のキー=“落ち着く場所”
このメロディって、どんなふうに作ったの?
これは、1つの鍵盤を押すと同時に2つの音が鳴る音色で演奏して、録音しました。
なるほど〜。この曲のキーが何かって、パッと聴いて分かる?
分からないです(泣)!
“キー”っていうのは、その曲で主に使われる“音階”のことで、“メジャー・キー”と“マイナー・キー”があります 。ここでは主にメジャー・キーの話をするね。例えば、「ドレミファソラシド」これは、ド=Cから始まるメジャーキー、つまりは“Cメジャー”です。
なるほど。
「キーを変える」というのはどういうことかというと、音の間隔(全音→全音→半音→全音→全音→全音→半音)を維持したまま、最初の音をずらしていく ということなんです。
▲メジャー・キーの音階は、音の間隔が、全音→全音→半音 →全音→全音→全音→半音 となっている(上の画像はド=Cから始まるメジャー・キー、Cメジャーを示した図)。この間隔を保ったまま最初の音を移動させていけば、キーを上げたり下げたりできる ※マイナー・キーの場合は、音の間隔が全音→半音 →全音→全音→半音 →全音→全音になっている
▲Cメジャー・キー(ドレミファソラシド)を、半音ずつ移調していく様子。Cメジャー (ドレミファソラシド)→C♯メジャー (ド♯レ♯ファファ♯ソ♯ラ♯ドド♯)→Dメジャー (レミファ♯ソラシド♯レ)→D♯メジャー (レ♯ファソソ♯ラ♯ドレレ♯”)と変化している
なるほど!
こういうのボイトレでやるよね。「ドレミファソファミレド〜ジャーン!」ってやつ。
やりますね。
で、最初の話に戻るけど、RIKOさんの持ってきたメロディのキーは、「ドレミファソラシド」なのか「レミファ♯ソラシド♯レ」なのか……どれなんでしょうって話。
なるほど!!
これは、「D♯」から始まるメジャーキーですね。
どうして分かるんですか?
うーん、何でだろう。慣れちゃってるから説明が難しいけど、「ルート音を探せ」というのはよく言いますよね。
ルート?
ルート音というのは、そのキーで基準となる音のこと で、Cメジャー・キーであればCです。“ 落ち着く場所”とも言えますね 。ドレミファソラシドで、C(ド)→G(ソ)ときたら、最後はC(ド)に行きたくなるじゃん。
たしかに。
この曲の場合は、その落ち着く場所(=ルート音)が、フレーズの頭に使われている「D♯=レ♯」 なんだよね。だからキーもD♯メジャー ということになります。キーが分かったら原則として、そのキーを構成している音(=スケール)で、曲を組んでいく ようにしましょう。スケールにはない音を使うと、ちょっと違和感があるんだよね(もちろんあえて外すというのもあり)。ベースはルート音のD♯(=レ♯)を使って組んでみようか。
▲今回の曲のキーであるD♯メジャーを構成している音。この中の音であれば、RIKOが作ったメロディに違和感なく加えていくことができる
はい!
この前まで機材の使い方の話とかしてたのに急に音楽理論的な話になってしまった……DTMって覚えることめっちゃあるね(笑)
演奏したデータを後からいじることも可能
ヒップホップの場合、ベースはキックと同じ場所にくるのが基本です。では弾いてみて下さい!
はい!
ベースを打ち込むRIKO
いいじゃないですか〜録れました。で、拍から多少ずれているので、それをよしとするのか、クオンタイズかけるのかは自由です
▲ベースが加わった(クオンタイズ機能によるタイミング調整済み)。
クオンタイズについてはこちらの記事で解説しています
「ずっと音が一緒で味気ないな」と思ったら、MIDIのデータを後からいじって、一部を1オクターブ上にしてみるとかもありだね。
おおおお〜! いい感じですね!
ここまでくれば、あとはラップ入れればいい感じだよね。さらに自分でもっと凝って、売れるクオリティまで持って行ってもいいし、デモならこれでも十分。プロに「こんな歌詞書いてきたんです」って言って一緒に持って行けば、どんな曲を作りたいのかがしっかり伝わると思います。よし、じゃあ早速何かラップしてみますか!
はい!
\次回、RIKOは自力でオーディオインターフェースを使ってラップを録音できるのか...!? お楽しみに/
JUVENILE(写真左) 独自のCity musicを発信する音楽プロデューサー/アーティスト/トークボックスプレイヤー。 RADIO FISH「PERFECT HUMAN」の作編曲をはじめ、手がけた楽曲のYouTube総再生数は一億回を越える。2025年1月25日には、K-POP界注目の新星”82MAJOR”のメインボーカルであるキム・ドギュンを迎えた「Letter feat. KIM DO GYUN(82MAJOR)」をリリース。TALKBOXプレイヤーとしても、トークボックス界のNO.1プロデューサー”FINGAZZ”の来日公演で共演を果たし、幅広くマルチに活動している。映画『バックトゥザフューチャー』をこよなく愛す。 Official Site:https://juvenile-tokyo.com/ X:https://x.com/juveniletalkbox TikTok::https://www.tiktok.com/@oopartz_juvenile
RIKO(写真右) 沖縄県出身。2006年9月29日生まれの18歳。女優/ホリプロ発ガールズユニットHUNNY BEEのメンバー。特技はダンス、ギター、三線、ラップ。音楽制作を勉強中!
■2025年7月9日(水)~7月27日(日) ミュージカル『ジェイミー』ヴィッキー役出演 東京建物 Brillia HALLにて
■HUNNY BEE 2ndシングル「美しき流星」3/19リリース 3ヶ月連続リリースイベント@ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 3/16(日)12:30回 14:30回
■HUNNY BEE 2ndシングル「美しき流星」3/19リリース
▼HUNNY BEE「美しき流星」リリースイベント
2025年3月16日(日) ①12:30〜 ②14:30〜 ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 B2Fイベントスペース
2025年3月20日(祝・木) 18:30〜 タワーレコード錦糸町パルコ店 店内イベントスペース
2025年3月23日(日) ①12:30〜 ②14:30〜 ヴィレッジヴァンガード+PLUS(イオンレイクタウンmori)
2025年3月30日(日) ①12:30〜 ②14:30〜 汐留シオサイト地下歩道 特設ステージ
2025年4月13日(日) ①12:30〜 ②14:30〜 ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 B2Fイベントスペース
Official Site:https://www.horipro.co.jp/riko/
JUVENILE×RIKO(HUNNY BEE)による3部作プロジェクト!
『Blue Hour』 JUVENILE feat.RIKO(HPI Records)
作詞 :児玉雨子 作編曲 :JUVENILE
これからの一歩を踏み出そうとする人の心象をとらえたナンバー!JUVENILEが生み出すの爽快なビートは負けずに歩いて行けるような勇気を聴き手に与えてくれる。RIKOの儚くも美しい等身大の女性像を美しく描き、自信に満ちた強さが表現されている。
『Vintage Record.feat.RIKO』 JUVENILE feat.RIKO(HPI Records)
作詞 :RYUICHI 作編曲 :JUVENILE
JUVENILEのアルバム『INTERWEAVE 03』に収録されている韓国人アーティストCIKI曲のリバイバルナンバーが2作目に登場!RIKOがCIKIの世界観とはまた違ったムードを醸しだし、新しい物語へと変貌を遂げた作品。
『Whisper』 JUVENILE feat.RIKO(HPI Records)
作詞 :児玉雨子/RIKO 作編曲 :JUVENILE/RIKO
トリを飾るのは、夜をテーマとしたアップテンポナンバー!!初挑戦となるRIKOのラップも聴き所。爽快なビートに乗せて歩みを進めネクストステップを刻んだ今作は、JUVENILE、RIKO、作家の児玉雨子の3名が交わる集大成。
JUVENILE楽曲情報
「Letter feat. KIM DO GYUN(82MAJOR)」
作詞:JUVENILE、KIM DO GYUN(82MAJOR)、HWANG SEONG BIN(82MAJOR)
作曲/編曲 : JUVENILE
MIX&MASTERING by JUVENILE