この連載では、BTSからEXILE、CHEMISTRY、May.Jといったアーティストの楽曲に携わった経験を持つシンガーであり作詞/作曲/編曲家の和田昌哉が、メロディ作りに役立つ知識を一問一答形式で分かりやすくお伝えします。
【質問】良いメロディを作るには、まず何をすべきですか?
【回答】あなたにとっての“良いメロディ”とは何か、その判断基準を持つことから始めましょう。
【解説】
メロディを作る上で重要なのは、そのメロディの“良し悪し”をしっかりと見極めるための判断基準を持つことです。例えば、良いメロディには“相対的な良さ”と“絶対的な良さ”の2つがあります。“相対的な良さ”とは、時代や流行によって定まるもので、商業音楽においてはキャッチーさが大きな役割を果たします。特に耳に残りやすく、分かりやすいメロディは多くのリスナーに受け入れられやすい傾向があります。
一方、“絶対的な良さ”とは、これまで自分が聴いてきた音楽や好きな音楽から形作られる“自分軸”に基づいた良さのことです。アーティストや作家としての成功には、単に流行を追いかけるだけでなく、自分の軸を持って音楽を制作することが必要だと僕は考えています。それが結果的に個性となり、音楽に際立った特徴をもたらします。こうした“相対的な良さ”と“絶対的な良さ”のバランスが、自分のスタイルを築き、音楽の方向性を決めるうえで重要になるのです。
【補足コメント】
こんなふうに話しながらも、最近の僕はただ自分が楽しめる音楽を、自分のために作っています。何よりも自分が楽しみ、自分の心に響くものを作る。そんなシンプルな目標も、とても大切だと感じているからです。
講師:和田昌哉
【PROFILE】Instagram & X:@masayawada
作詞作曲からアレンジ/ボーカル/プロデュース/レコーディング/ミキシングまで自ら手掛ける音楽的センスと深い知識を持ち、“創る才能”と“表現する才能”を併せ持つ稀有なボーカリスト。ソロアーティストとしてAvex Rhythmzoneからアルバム3枚、シングル3枚をリリース。また、XChange、Fixional Cities、Groove Nomad Orchestraのヴォーカルとしても活動している。ソロデビュー前から数多くの作品に作詞/作曲/ボーカル・プロデューサーとして関わり、R&Bをルーツにしたその音楽性は、普遍的なポップスとして幅広い層に受け入れられている。EXILE TRIBE(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS/GENERATIONS/THE RAMPAGE/FANTASTICSなど)やNissy(西島隆弘)への楽曲提供を行うほか、ボーカル・ディレクターとしても活躍。CHEMISTRYのデビュー時やMay J.「Let It Go 〜ありのままで〜」、BTSをはじめとする韓流アーティストの作品にも多く携わっている。