サンレコWeb編集部がおすすめする、初心者が買って間違いのないオーディオインターフェース。今回はUNIVERSAL AUDIOのVolt USB Recording Studio(以下Volt)をピックアップします。
- UNIVERSAL AUDIOは歴史あるアメリカのブランド
- 1台で2種類のサウンドが得られるVolt
- 定評ある76 COMPRESSORを内蔵
- DAWはLUNAとAbleton Live Liteが付属
- UA製を中心にプラグインエフェクト満載
- ソフト音源は精鋭揃い
- Volt 全6モデルのラインナップを整理
- USER'S VOICEレコーディングで内蔵の76 COMPRESSORをかけ録りすることも(SO-SO)
UNIVERSAL AUDIOは歴史あるアメリカのブランド
UNIVERSAL AUDIOは1958年にビル・パットナムがアメリカ西海岸で創立したレコーディング機器メーカー。スタジオコンソール610や、現在も世界中のレコーディングスタジオで使われるコンプレッサーの1176など数多くの機器を生み出すとともに、スタジオ設計/運営も手掛け、現在につながるさまざまなレコーディングの技法を生み出しました。


現在のUNIVERSAL AUDIOは1999年にビル・パットナムの息子たちが再スタート。父から譲り受けたアナログ機材のノウハウと最新のデジタル技術を組み合わせ、オーディオインターフェースやプラグインエフェクト、近年ではマイク、ギター関連製品も手掛けています。ギタリストにはペダルエフェクトのUAFXシリーズが人気を集めています。


1台で2種類のサウンドが得られるVolt
VoltはMac/Windows、iPad/iPhone(iOS 14 以降)に対応するUSB-C接続の24ビット/192kHzオーディオインターフェースです。
Voltは入出力数や、後述の76 COMPRESSORの有無で6つのモデルが用意されていますが、全モデルに共有するのがマイクプリアンプ&ギター入力にVINTAGEモードが備わっている点。これはVINTAGEスイッチを押すことで、同社の真空管コンソールの610プリアンプのキャラクターを再現できるというものです。
モダンでクリーンなノーマルモードと温かみのあるVINTAGEモードの切り替えができることで、同じマイクや歌い手であっても、曲調や声質に合わせて2つのキャラクターを使い分けることができます。
定評ある76 COMPRESSORを内蔵




もう一つ、モデル名に「76」がついたサイドウッド付きのVoltには、76 COMPRESSORがマイク&ギター入力に搭載されています。
76 COMPRESSORは、同社を代表するコンプレッサー1176LNのサウンドをアナログ回路で再現するもの。コンプレッサーは操作の難しいエフェクトですが、VOC(ボーカル)、GTR(ギター)、FAST(ドラムなど)という3つのプリセットから選択するだけの簡単設計で、サウンドに狙い通りの存在感を加えてくれます。
VINTAGEモードと組み合わせることで、録音段階からしっかりとしたサウンドでとらえることができるのが、76 COMPRESSOR搭載Voltの大きな特徴となっています。
DAWはLUNAとAbleton Live Liteが付属
Voltには2種類のDAWソフトが付属します。一つはUNIVERSAL AUDIOが開発したLUNA。録音や打ち込み、編集、ミックスといったDAWの基本的な機能に加え、アナログコンソールやアナログテープマシンの再現など、さまざまなスタジオ機器のサウンドが組み込まれています。そのサウンドには定評があり、他のDAWソフトのユーザーであっても、仕上げのミックスはLUNAで行うというクリエイターもいるほど。もちろん制作のスタートから使うこともできます。
もう一つはAbleton Liveの入門版であるLive Lite。サンプラーのImpulseやSimpler、シンセサイザーDriftなど基本デバイスが付属し、テンポ変更やキー変更にも柔軟に対応するLiveの特徴を体験できます。
UA製を中心にプラグインエフェクト満載







プラグインブランドとしても定評あるUNIVERSAL AUDIOだけに、付属するプラグインエフェクトの充実ぶりも光ります。UNIVERSAL AUDIO製のプラグイン・エフェクトだけでも下記の7種類が付属します。
- Century Tube Channel Strip(プリアンプ/EQ/コンプ)
- Pultec Passive EQ Collection(EQ)
- Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection(コンプレッサー)
- Galaxy Tape Echo(ディレイ)
- Pure Plate Reverb(リバーブ)
- Oxide Tape Recorder(テープ・シミュレーター)
- Verve Analog Machines Essentials(テープ・シミュレーター)
まず注目したいのは、Century Tube Channel StripとTeletronix LA-2A Classic Leveler Collection。Volt本体のVINTAGEモードや76 COMPRESSORとはキャラクターの違うものを用意することで、サウンドのバリエーションを広げている点です。


さらに他社製のプラグインエフェクトも下記の4種が付属します。
- Melodyne Essential (Celemony) ピッチ/タイミングエディター
- Marshall Plexi Classic Amp Bundle (Softube) ギターアンプ、他
- Ampeg® SVT-VR Classic Bass Bundle (Plugin Alliance) ベースアンプ、他
- LX480 Essentials (Relab Development) リバーブ
Marshall Plexi Classic Amp Bundleにリバーブ、ディレイ、コンプ、サチュレーションが含まれていたり、Ampeg® SVT-VR Classic Bass Bundleにはチューナーやマスタリングエフェクトが収録されていたりと、その収録内容は多岐にわたります。
また、Voltを製品登録すると、40種類以上のプラグインが用意されたUNIVERSAL AUDIOのサブスクリプションUAD Sparkを3カ月試すことができます。
ソフト音源は精鋭揃い
一方、ソフト音源は、アナログシンセをコンピューター上に再現するPolyMAX Synthを筆頭に、UJAMのVirtual Bassist DANDY、Virtual Drummer DEEPなどが付属。UJAMの2製品は、鍵盤を押すだけでパターンを再生することができるため、打ち込みや鍵盤演奏が苦手な人にも大きな力になってくれるはず。さらにSpitfire Audioの総合音源LABSも付属します。


Volt 全6モデルのラインナップを整理
前述のように、Voltのラインナップには76 COMPRESSORの搭載/非搭載の違いや、チャンネル数の違いで、6つのモデルが用意されています。
Volt 1 USB Recording Studio
1系統の入力を持つ最もシンプルなVolt。自分の声だけを録る、エレキギターの重ね録りをするといった用途なら入力は1系統でも十分です。
- 入力×1系統
- マイクプリ×1
- 出力×2系統
- 23,100円
Volt 2 USB Recording Studio
2系統の入力を持つモデル。ギターとアコギに別々のマイクを立てて録音する、2人の会話を録音する、といった用途を想定している場合に最適。
- 入力×2系統
- マイクプリ×2
- 出力×2系統
- 30,800円
Volt 176 USB Recording Studio
Volt 1と同様入力は1系統ですが、76 COMPRESSORの装備が何と言っても最大のポイント。ボーカルにコンプがかかることで、声の大小による音量差が少なくなり、オケに埋もれずにきちんと声を聴きながら歌えるようになります。
- 入力×1系統
- マイクプリ+76 COMPRESSOR ×1
- 出力×2系統
- 33,000円
Volt 276 USB Recording Studio
Volt 2と同様に2系統の入力を持つモデルで、76 COMPRESSORを2基搭載。
- 入力×2系統
- マイクプリ+76 COMPRESSOR ×2
- 出力×2系統
- 49,500円
Volt 476 USB Recording Studio
4系統の入力のうち2系統にマイクプリと76 COMPRESSORを装備。マイクと差し替えずにキーボードなどの楽器を接続しておけるのは便利です。
- 入力×4系統
- マイクプリ+76 COMPRESSOR ×2
- 出力×4系統
- 59,400円
Volt 476P USB Recording Studio
Voltシリーズの中で唯一、4基のマイクプリを搭載したモデル。ドラム録音や複数人でのPodcast収録など、用途がグンと広がります。もちろん76 COMPRESSORも4基搭載したシリーズ最上位機。
- 入力×4系統
- マイクプリ+76 COMPRESSOR ×4
- 出力×4系統
- 75,900円
USER'S VOICE
レコーディングで内蔵の76 COMPRESSORをかけ録りすることも(SO-SO)
Volt 276を持ち運び用として使っています。タイトな音がビートボックスと相性の良いマイク、SHURE SM7Bを使うことが多いのですが、出力ゲインが低いので、通常のオーディオインターフェースだと100%の力が発揮できないんです。Volt 276はプリアンプゲインも高く、SM7Bとの相性が良いので愛用しています。
録り音も個性が強くて好きなので、レコーディングで内蔵の76 COMPRESSORをかけ録りすることもありますね。
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