Solid State Logic SSL 2 MKII、SSL 2+ MKII 〜初心者にオススメのオーディオインターフェース

SSL 2 MKII、SSL 2+ MKII

 サンレコWeb編集部がおすすめする、初心者が買って間違いのないオーディオインターフェース。今回は、Solid State Logic SSL 2 MKII、SSL 2+ MKIIをピックアップします。

Solid State Logicは大型ミキシング・コンソールのメーカー

ORIGIN

Solid State Logicのコンソールの最新モデル、ORIGIN

 Solid State Logic(以下SSL)は、1969年にイギリスのオックスフォードにて設立されたオーディオメーカー。世界中の大物アーティストの作品をレコーディングしてきた、大型ミキシング・コンソールのメーカーとして知られています。

 近年ではホームスタジオ向けの製品も開発しており、2020年に発表された同社初のオーディオインターフェース=SSL 2、SSL 2+は、“コンソール・メーカーが出す宅録向けの製品”として、大きな話題となりました。今回紹介するSSL 2 MKII/2+ MKIIは、これらの性能をアップデートした最新モデルです。

SSL 2 MKII、SSL 2+ MKIIの概要

SSL 2 MKII

SSL 2 MKII|オープンプライス(市場予想価格:35,860円前後)

SSL 2+ MKII

SSL 2+ MKII|オープンプライス(市場予想価格:47,850円前後)

 SSL 2 MKIIは2イン/2アウト、SSL 2+ MKIIは2イン/4アウトのオーディオインターフェース。両者の違いは出力系のみで、ほかの性能は同一です。

 Mac/Windowsをサポートし、最高32ビット/192kHzでの録音に対応。USBバス・パワーで駆動し、Macの場合はコンピューターと接続するだけですぐに使用できます(Windowsの場合はSSL が提供するUSB オーディオ (ASIO/WDM)ドライバーのインストールが必要)。

SSLコンソールのサウンドを再現したマイクプリ

SSL 2 MKIIのマイクプリ

 SSL 2 MKII、SSL 2+ MKIIのマイクプリは、SSLのコンソールに搭載されているSuperAnalogueマイクプリのサウンドイメージを再現しています。ゲインレンジは64dB、ダイナミックレンジは116.5dBで、解像度の高いクリーンなサウンドが特徴です。

 各入力chには、48Vファンタム電源のほか、入力をラインに切り替えるLINEスイッチとハイパスフィルターが用意されています。

 

SL 4000 シリーズ・コンソールの音を再現する“4Kスイッチ”

4Kスイッチ

 SSL 2 MKII、SSL 2+ MKIIの最大の特徴は、この4Kスイッチと言えるでしょう。これは、1980年代に一世を風靡したSSLのコンソール、SL 4000 シリーズの音を再現するスイッチ。このスイッチを押すだけで、高周波帯域がブーストされると同時にひずみによる倍音が付加され、SSLらしい“前に出てくる音”になります。例えば、メインボーカルやギターソロなどを録音する際に使用すれば、演奏を際立たせることが可能です。

ライン・アウトはダイナミックレンジが120dB

リアパネル

SSL 2 MKII(上)、SSL 2+ MKII(下)のリアパネル。SSL 2 MKIIは、左からコンピューターと接続するためのUSB-C端子、ライン・アウトL/R(TRSフォーン)、マイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)×2が並ぶ。SSL 2+ MKIIには、MIDI IN/OUT、ライン・アウト×2が追加されている

 背面に用意されている、モニタースピーカーを接続するためのライン・アウトL/Rは、ダイナミックレンジが120dBと広大。ノイズの少ないクリアな音質を特徴とします。すべての出力は DCカップリング回路で構成されているので、CV入力のモジュラー・シンセをコントロールすることも可能です。

ヘッドホンアウトが2つ

フロントパネル

SSL 2 MKII(上)、SSL 2+ MKII(下)のフロントパネル。どちらもHi-Z入力(フォーン)×2とヘッドホン・アウト(ステレオ・フォーン)×2を装備しており、SSL 2+ MKIIはそれぞれのヘッドホン・アウトのミックス・バランスやボリュームを個別に調整可能

 ヘッドホンアウトはNJM製で、SSL 2 MKII、SSL 2+ MKIIともに2系統。小型のインイヤーモニターから、大きなダイヤフラムを持つヘッドホンまで対応します。ダイナミックレンジは119.5dBと広大です。SSL 2+ MKIIは、2系統のヘッドホンアウトのボリュームやミックスバランスを個別に調整することが可能(SSL 2 MKIIはボリュームノブが共通)。

★SSL 2+ MKIIが、SSL 2 MKIIと異なる点を整理!

  • MIDI IN/OUTを搭載
  • ラインアウト×2を追加搭載(計4)
  • 2系統のヘッドホン・アウトのボリュームや、ミックスバランスを個別に調整可能

Ableton Live Liteに加え、多彩なプラグインやソフト音源が付属

ソフトウェアバンドル

 制作に役立つさまざまなソフト音源やプラグインなどをバンドルした、SSL Production Packが付属します。

★SSL Production Packの内容

  • SSL Vocalstrip 2(ボーカル向けチャンネルストリップ)とDrumstrip(ドラム向けチャンネルストリップ)の永続ライセンス
  • Harrison Mixbus 10(DAW)
  • IK Multimedia Amplitube 5 SE(アンプシミュレーター)
  • Celemony Melodyne Essential(ピッチ/タイミング修正プラグイン)
  • Native Instruments Hybrid Keys & Komplete Start(ソフト音源)
  • Ableton Live Lite(DAW)
  • AAS Session Bundle plug-ins(ソフト音源)
  • Loopcloudのサンプル音源1.5 GB

SSL2 MKII Review by イロハ 〜小型のオーディオインターフェースをオススメするときは、まずこのモデルを推しています

イロハ

【Profile】洗足学園音楽大学大学院卒業。さらばルバートのvo&gとして活躍する一方で、作曲~録音まで一人で行う音楽クリエイターとしてもマルチに活躍。福山雅治、三品瑠香、由薫、Hana Hope、ウォルピスカーターなどのプロジェクトにかかわる注目の若手音楽家

前モデルのSSL 2+が、出先での作業に重宝

 前モデルのSSL 2+を、その利便性、音質、見た目……などなどの理由から、ずっと愛用していました。特にマニピュレーターやアレンジャーとして全国ツアーを回る際など、出先でのちょっとした作業をするときに重宝しています。ヘッドホンアウトが2系統あるおかげで、それぞれ独立してボリューム操作を行いながら共同作業者とアレンジ確認をすることができますし、MIDI OUTのある電子ピアノであれば、MIDIケーブルで繋ぐだけですぐに打ち込み作業を行えます。必要な機能がぎゅっと詰まった、とても良いオーディオインターフェースだと感じていました。

 SSL 2+を使用しているうちに、“ここが改善されていたらもっと良いのにな…”と感じていた点も幾つかあったのですが、それがこのシックなデザインになったMKIIで、ことごとく進化していて非常に驚きました。

元々とても良いと感じていた音質がさらに向上

 前モデルとMKIIで録音して、聴き比べをしてみました。AD/DAコンバーターが刷新され、32ビット/192kHzに対応したことで、元々とても良いと感じていたダイナミックレンジがさらに向上し、インプットもアウトプットも、より良い音になっていると思いました。

 また、4Kスイッチをオンにした際のサウンドにも変化を感じました。前モデルを使用する際はオフの状態を好んで使っていたのですが、MKIIは4Kスイッチを押した際にブーストされる高域が心地良く、かなり使えるサウンドになっているように思います。

より使いやすくなったことを実感した

 個人的に特にうれしかったのは、ヘッドホンアウトとHi-Z入力がフロントパネルに変更された点です。前モデルではリアパネルに用意されていたので、ほかのケーブルがたくさん挿さっている場合、ヘッドホンやギターのシールドを抜き挿しするのが結構面倒で、ケーブルの取り回しもごちゃついてしまっているな、と感じていました。さらに、上位モデルのSSL 2+ MKIIだけでなく、SSL 2 MKIIの方にもヘッドホンアウトが2つ用意されているのもうれしい点だと思います(前モデルSSL 2のヘッドホンアウトは1つのみであった)。

 そして、前モデルのSSL 2+ではモニター出力がTRSフォーンとRCAの2系統で、3-4chはRCAのみだったのが、MKIIではすべてTRSフォーンに変更されました。前モデルの端子で便利なときもあったのですが、簡単なポン出しを4ch出力したいときに、PAさんとやり取りがやや面倒になる場面もありました。MKIIではすべてTRSフォーンに変更されているので、そういった用途でも使いやすくなっていると思います。

 ほかにも、LINEスイッチやファンタム電源の下にLEDが搭載され、オン/オフが分かりやすくなっていたり、ハイパスフィルターが追加されたりと、MKIIになって、よりユーザーが使いやすく、かゆいところに手が届くオーディオインターフェースになっていると思います。最近小型のオーディオインターフェースをオススメするときは、まずこのモデルを推しています

 

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