1995年に設立され、カスタムIEM(イン・イヤ・モニター)のパイオニア的存在としてさまざまな製品を生み出してきたULTIMATE EARS。彼らがアメリカの老舗スタジオ、キャピトル・スタジオと協力して作り上げた製品がReference Remasteredだ。そのカスタムIEMモデルの愛用者、モノンクル角田隆太にユニバーサル・モデルも試してもらい、両モデルのサウンドと装着性について聞いてみた。
UE Reference Remastered To-Go / UE Pro Reference Remastered
ハイレゾ再生を意識して開発され、米キャピトル・スタジオとのコラボによってスタジオ・リファレンスとなる“ニュートラルなサウンド”を追求したIEM。ラインナップはカスタムIEMモデルのUE Pro Reference Remasteredと、ユニバーサル・モデルのUE Reference Remastered To-Goの2モデルとなっている。カスタムIEMモデルは、デジタル・モデリングや3Dプリント技術と職人の技術を融合してユーザーの耳の形に合ったシェルが製作され、優れた遮音性や装着性を実現。付属するUE SuperBaxケーブルは、銀メッキ銅リッツ線構造により音源に忠実で色付けの少ないサウンドを提供する。接続部分はイーストンと共同開発した独自規格、IPXコネクション・システムを採用しており、厳しい環境でのライブでも安心な高い耐汗性と耐候性を持つ。
SPECIFICATIONS
●ドライバー:バランスド・アーマチュア型×3基 ●インピーダンス:35Ω@1kHz ●入力感度:100dB@1kHZ, 1mW ●周波数特性:5Hz〜25kHz ●遮音性:−26dB ●ケーブル接続規格:IPX
こちらは角田が所有するカスタムIEMモデルのUE Pro Reference Remastered。ユニバーサル・モデルと違いイヤー・ピースは付いておらず、その影響のためかソリッドな音像に仕上がっているそうだ。
SPECIFICATIONS
●ドライバー:バランスド・アーマチュア型×3基 ●インピーダンス:37.5Ω@1kHz ●入力感度:119dB@1kHZ, 1mW ●周波数特性:5Hz〜40kHz ●遮音性:−26dB ●ケーブル接続規格:IPX
ドライに全体を聴かせてくれる“鳥の視点”が得られるサウンド
角田は普段からULTIMATE EARSのIEMを愛用しており、現在使っているのがカスタムIEMのUE Pro Reference Remasteredだ。
「手に入れたのは2020年くらいです。e☆イヤホンの秋葉原本店に行き、片っ端から製品を試しましたね」
ライブ時のモニターとしての活用を考えてIEMを探していたらしく、特に重視したのは遮音性だったと言う。
「Reference Remasteredは誰でもフィットしやすいユニバーサル・モデルのUE Reference Remastered To-Goと、自分の耳の形に合わせて作るカスタムIEMモデルのUE Pro Reference Remasteredがあります。僕は遮音性能を重視していたので、カスタムIEMモデルを選びました」
UE Pro Reference Remasteredを選んだのは、「自分が思い描いていた音が鳴った」ことが決め手だったそうだ。
「自分の好きな音の傾向があるんですが、それはガッツがあるタイプの音ではなく、どちらかというと空を飛ぶ鳥の視点のように、全体を見渡せる音なんです。リファレンス音源をUE Pro Reference Remasteredで聴いてみたところ、ドライに全体を聴かせてくれる印象でした。他社のモデルよりもバランスに優れていましたね」
低域の見え方が変わるユニバーサル・モデル
角田が言う“鳥の視点”を持つサウンドは、ライブにおいてどのようなメリットがあるのだろうか?
「ライブでのモニターでは、特に中域が渋滞しやすくなってしまいますが、Reference Remasteredではそういうことが起こりにくいんです。また、3つのドライバーを備えた3ウェイということも良くて。それ以下や以上では音の混み具合が違ってきて、モニターの音作りが難しくなってしまうことがあります。でも、3ウェイのReference Remasteredではバシッと音が決まることが多いですね」
ユニバーサル・モデルとカスタムIEMモデルの音の違いについて、こう続ける。
「イヤー・ピースが付いたカナル型のユニバーサル・モデルと比べ、カスタムIEMモデルは低域がソリッドな印象です。僕はベース・アンプの前で演奏するのでちょうど良いバランスに聴こえていますが、イヤホンだけで低域のトランジェントまでしっかり聴こえてほしいという方はユニバーサル・モデルが向いているかもしれません。装着性以外の面でも違いがあると感じたので、使用するシチュエーションなどを考慮して選ぶとよいと思います」