オーストリアの老舗音響ブランドであるAKG。K712PROは開放型ヘッドホンの上位モデルで、正確で明瞭なサウンドと快適な装着感で高い支持を得る。ここでは同シリーズのK214を愛用し、普段からヘッドホンのみで音楽を制作するクリエイターのDirty Orangeを迎えて、サウンドや装着感などを含めてチェック。ヘッドホン主体の音楽制作におけるK712PROのポテンシャルを検証した。
AKG K712PRO〜長時間付けていても頭に優しく耳も疲れない
AKGの最新技術を注ぎ込んで製作された開放型モニター・モデルのフラッグシップ機。独自構造を持ったハウジング、異なる2つの素材で設計されたダイアフラムが、臨場感豊かで明瞭なサウンドを出力する。また、人間工学に基づいて設計した大口径の3Dイヤー・パッドに低反発素材を採用。柔らかく伸縮するヘッドバンドと相まって快適な装着感を追求している。
SPECIFICATIONS
●形式:開放型 ●周波数特性:10Hz~39kHz ●感度:93dB SPL/mW(@1kHz) ●インピーダンス:62Ω ●ドライバー径:40mm ●最大入力:200mW ●重量:298g(ケーブル除く) ●付属品:3mストレート・ケーブル(OFC)、5mカール・コード(OFC)、フォーン・プラグ・アダプター(ねじ固定式、金メッキ)、キャリング・ポーチ
K214と装着感が似ていて軽い
僕はヘッドホンだけで音楽の制作を行っているので、“長時間使っても疲れないこと”を重視しています。以前からAKG K214を使っていて、開放型ならではの広い空間と、ずっと使用しても疲れない音が気に入っていました。今回テストしたK712PROはK214と装着感が似ていて、軽いことが気に入りました。イヤー・パッドの当たりも柔らかくて快適で、ヘッドバンドが本革になっていてソフトなのにズレにくいのも良いです。
試聴環境はPRISM SOUND Lyra 1からRUPERT NEVE DESIGNS RNHPを介してK712PROを接続しました。K712PROはK214と同じ開放型なので音の広がり方は似ていましたが、高域がもっと滑らかで耳に優しい音に感じました。音の輪郭も見えやすく、一つ一つの音が分離して聴こえてきて、定位感も良かったです。
豊かになった低域の表現
K712PROは低域の表現力が増していると感じました。K214は低域が見えづらいときもあり、密閉タイプのモデルを併用していたのですが、K712PROは密閉型と比較しても、低域に違和感がなくて驚きです。超低域までは難しくても一般的な低域部分はしっかり見えたので、レンジの広がりを感じました。いろんな音楽を試聴したところ、左右に振っているギターやボーカルの定位が分かりやすく、バンド系の音に合いそうです。あと、僕は普段から大きめの音量で制作をしますが、音量の不足を感じることもなく、よく鳴ってくれました。
総じて良かったのは長時間着けて作業しても頭に優しくて、耳も疲れない音であるところです。定位感も良く、音の積み重ねが奇麗にできそうで、普段の楽曲制作でもしっかり使えると思います。僕と同じようにヘッドホンだけで音楽制作をする人にとっては、K712PROの頭にも耳にも優しい快適さが大きなメリットになるはずです。
【Profile】新潟出身の音楽プロデューサー/ビート・メイカー。15歳のころにヒップホップやロック、EDMなどに影響を受け音楽制作を開始する。2015年にDigz, Inc. Groupと契約しEXILEや三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、JUJUなどの作品を手掛けている。
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