音楽制作やパフォーマンスの可能性を広げる多彩な機能を擁するDAWソフトAbleton Liveが、2024年に3年ぶりのアップデートを果たし、Live 12となって登場した。今回のアップデートでは、ユーザーに制作のヒントを与えてくれるようなMIDI機能の進化やブラウザ表示の刷新、強力な付属デバイスの追加など、使いやすさを向上させる新機能がめじろ押しとなっている。ここでは、Ableton認定トレーナーのオカモトタカシによる新機能紹介と、Live 12を既に使いこなす4名のプロによるインプレッションから、その進化の全貌を明らかにしていこう。
MIDI機能の強化
MIDIクリップを編集するクリップビューに、MIDI変形ツール、MIDI生成ツール、ピッチとタイミングのユーティリティのタブが追加されました。MIDI変形ツールでは、ノート入力後にTransformボタンを押すだけで各種奏法を表現。MIDI生成ツールでは、ピッチなどの条件を設定してGenerateボタンを押すとフレーズを自動生成。発音や音高の設定は、ピッチとタイミングのユーティリティで調整可能です。ノート分割やスケールの統一もスムーズになりました。
MIDI変形ツール(Live Standard以上)〜入力したMIDIノートを元に多様な奏法を表現
Arpeggiate 選択したMIDIノートをアルペジオ化
以前からMIDIデバイスとして存在していたArpeggiatorがMIDI変形ツール内にも実装。ノートエディタ上のノートを直接アルペジオ化できるようになりました。もともとArpeggiatorには、通常のアップ/ダウン以外に個性的なスタイルのアルペジオが備わっていたので、それらの利用価値も上がったように感じます。さらに、Distanceで自在にインターバルを設定することでオクターブ以外の動きをするフレーズも生み出せます。
Connect ノートの数を増やしてフレーズをアレンジ
ノートのすき間を埋めてフレーズやコードを連結してくれるツールです。大雑把な流れのフレーズを作成しておいて、その前後につなぎとなるようなノートを生み出すことができます。もちろんもっと大きなフレーズを生成することも可能なので、アイディア次第でメロディ・メイクの良い相棒となりそうです。後述のソングスケール機能を使えば、その曲のキーから破綻することもありません。
Ornament 装飾音を加えて生演奏感を出す
FlamとGrace notesという2つの違ったニュアンスの装飾音を付け加えてくれるツールです。Flamはその名の通り、打楽器で用いられるフラム奏法的な表現を可能にしてくれます。Grace notesはしゃくり上げ(下げ)のような表現を生み出すことができます。特にGrace notesはコントロールできるパラメーターも多く、個性的な表現を付与することが可能だと感じました。
Recombine ノート間でピッチや長さ、ベロシティ値を交換
選択したノートのピッチや長さ、ベロシティ値を交換してフレーズに変化を与える機能で、連続したフレーズに変化を与えるアイディアが次々に生み出せます。例えば、ハイハットやパーカッションの連続性をダイナミックに変更したり、ベース・ラインやシーケンス・フレーズのアイディア出しを強力にサポート。個人的には、先述のArpeggiateで変形したデータをRecombineでさらに加工するのがお気に入りです。
Span 3パターンの手法でノートの長さをコントロール
選択したノートの長さをコントロールする機能で、音のすき間を埋めるLegato、既存の長さから伸ばすTenuto、長さを16分音符にそろえるStaccatoが備わっています。おいしいのがOffsetというパラメーターで、音の伸ばし加減を感覚的に調整可能。さらに、Variationでそれらにバラツキを与えることもできます。マウスで入力した“そろいすぎた”フレーズに揺らぎを与えられる実用的なツールです。
Strum ストラム奏法を瞬時に実現
選択したノートの発音タイミングをずらして弦楽器をかき鳴らすようなデータに変換。手作業ではとても面倒な作業ですが、ループ再生で音を鳴らしつつバラけ方を確かめながら調整できるのでかなり時短できます。Tentionでストロークのスピード感も調整でき、至れり尽くせりです。ギター的な音色はもちろん、ローファイ・ビートで用いられるようなエレピのフレーズなどにもバッチリな機能となっています。
Time Warp 発音タイミングを徐々に速める、遅める
ノートの発音タイミングに対して、だんだん速く/遅くなるように変形させるツールです。均一なタイミングで並ぶノートに適用すれば、グリッドを無視して加速していくような効果も与えられます。細かく刻むハイハットやスネア・ロールなどでトリッキーなビートを作るために、手作業で頑張っていた作業も一瞬で終了。こちらもループ再生しながら作業でき、ワークフローが根本から変わる可能性を秘めています。
MIDI生成ツール(Live Standard以上)〜シンプルな操作でフレーズやコードを自動生成
Rhythm ドラム・パターンに適したフレーズ作成ツール
ビート・メイクに適したフレーズ生成機能。音楽ジャンルに沿って完成されたビートを鳴らすのでなく、キックのみなど、楽器単体でのリズム・パターンの生成にフォーカスしています。通常のノートエディタでも使えますが、各ピッチに音色名が表示されるDrum Rackを読み込んで使用するとよりスムーズに。プルダウン・メニューまたはエディタ内の鍵盤をOption+クリックしてノートを選択し、Steps、Patternなどのパラメーターを調整するだけでリズム・フレーズが生成されます。生成したノートをランダムで切り分けるSplitは、トリッキーなハイハット・フレーズの作成などに便利です。
Seed 指定した条件内でランダムなフレーズを生む
個人的には最も衝撃的な機能です。ピッチ、音価、ベロシティの上限/下限を設定し、その範囲中にランダムなノートを生成。Voicesを1にすれば単音フレーズ、16にすればクリップ内を埋め尽くすようなクラスターが作れます。ソングスケール機能をオンにすれば、ダイアトニック・スケール内でフレーズを生成可能です。個人的にはSimplerでスライスしたサンプルをSeedで生成したランダム・ノートでトリガーして、グリッチーなカットアップを作るのが楽しくて仕方ありません。ランダムにノートを生成しているだけなのに、ほかの各種機能と組み合わせることでアイディアが膨らみます。
Stacks 種類を選択するだけでコード進行もお手のもの
ルート音と転回形のバリエーションを選ぶ“コードセレクター・パッド”でコードを生成するツールです。最大4つのコードから成る進行を生み出すことができます。ルート音の動きまではユーザー側が決める必要がありますが、ソングスケール機能と併用すれば、ルート音の動きに添いつつも調性から逸脱しない範囲でコードの流れが作れます。上級者にとっては手癖を打ち破る強力な相棒になりそうです。
Shape 図示したピッチの流れに沿ってフレーズを生成
ペン・ツールで描いた形に沿ってノートの音列を自動生成する機能です。Seedと比べるとかなり秩序を持った音列が生成されるので、具体的なイメージを持って使うツールという印象を受けます。個人的には、ソングスケール機能をオンにした状態でベース・ラインのフィル・インを生成する使い方が気に入っています。特にJitterというパラメーターで得られるラインのふらつきみたいなものはなかなか自分では思い付きづらく、おいしいフレーズが出てくる確率が高いように思います。
ピッチとタイミングのユーティリティ〜ノートの音高や発音タイミングの設定をコントロール
クリップビュー内に“Pitch & Time”タブが新設され、便利なユーティリティが追加されました。ピッチ操作の新機能は、ソングスケール機能で指定したスケールにスナップさせるFit to Scale、コードのボイシングを転回させるInvert、指定の音程にノートを追加するAdd Intervalなどがあり、変形ツールと組み合わせてさまざまなフレーズ編集ができそうです。
タイミング操作では指定倍率でノートを伸縮させるStretch、指定の長さにノートをそろえるSet Length、人間らしいタイミングの揺らぎを与えるHumanizeを実装。MIDI生成ツールで生成したノートにHumanizeを適用するだけで、ナチュラルに揺らいだフレーズが作れます。
ノート分割〜MIDIノートエディタ内でサクッと分割/統合
長年のユーザーにとって待望とも言える機能です。ノートエディタ内でノートを分割、統合できるようになりました。統合はcommand(WindowsではCtrl、以下同様)+J。分割はノートを選択した状態でcommand+Eを押すとグリッド分割、ノートを選択しない状態では再生カーソルで分割という合理的な仕様です。またグリッドを分割した後にcommandをホールドした状態でキーボードの上下キーを押すと任意の数の連符に分割することもできます。この機能により奇数連符混ざりのフレーズを作るフローが洗練されました。
スケールモード〜プロジェクト全体のキー/スケールを設定
プロジェクト全体を1つのキー、スケールで固定できるようになりました。メジャー、マイナーといった一般的なスケールはもちろん、ワールド・ミュージックのエキゾチックなスケールにも対応します。このスケールモードを各種MIDI生成&変形ツールの基礎パラメーターとして設定しておくと、調性的に破たんのないノートを生み出せます。一部のインストゥルメントやMIDIエフェクトには“現在のスケールを使用”機能も。スケールから外れないピッチ・モジュレーションやノート生成などで音楽的な試行錯誤が可能です。
Column〜さまざまな音律に対応するチューニングシステム
スケールモードは、あくまで現代の平均律の中での機能ですが、それと別に、アラビア旋法、微分音律、純正律などさまざまなチューニングでの制作に対応するチューニングシステムが実装されました。オリジナル形式のscalaファイル(.scl)またはAbleton形式のscalaファイル(.ascl)のインポートも可能。“https://tuning.ableton.com/”では、独自のチューニングシステム・ファイルを作成することもできます。
新たなデバイス
シンセやエフェクトなどの強力な付属デバイス、Packを多数追加。既存のPackの細やかなアップデートや、MPE(MIDI Polyphonic Expression)対応パッチの追加なども行われています。
Meld(Live Suiteのみ)〜創造的なモジュレーションと斬新なオシレーターを積むマルチ合成シンセ
ほかであまり見ないようなオシレーターを多数搭載し、2つのエンジンをコントロールしてサウンド・デザインを行うマルチ合成シンセ。モジュレーション・マトリクスも思いつく限りのパッチングができる設計です。オシレーターのチョイスが絶妙で、特に面白く感じたのはSwarm〜と名前が付くもの。Motion、Spacingのノブを触るとデチューンされたユニゾン系の音色が得られ、スケールモードに対応して音がレイヤーされるので音楽的なテクスチャーが付けられます。
筆者はInstruments RackにMeldを入れ、オシレーター・タイプとEnginesノブをマクロにマッピング。それらをランダマイズしてさまざまな音色が飛び出す“ランダム音色提案パッチ”を作り、予想外の音色が出てくるのを楽しんでいます。
Roar(Live Suiteのみ)〜ひずみやEQ、フィルター、コンプなどを含む複合型ディストーション・デバイス
多機能ディストーション・デバイス。最大3基のディストーションをシリアル、パラレル、マルチバンドなどいろいろなルーティングで使用できます。多数用意されたひずみのアルゴリズムを組み合わせるとリッチなディストーション・サウンドが得られます。フィードバック(ディレイ)、フィルター、コンプなどを内蔵し、Roar単体での基本的な音作りも可能です。
ややマニアックな特徴は、LFOやエンベロープなどのモジュレーションが内部で使用できる点です。リズミックにひずみ量が変化するような効果も手軽に生み出せます。中でも入力信号に追従するエンベロープは、元ソースへ動きのあるディストーション効果を簡単にもたらすことができるので、さまざまなシーンで使い勝手が良いでしょう。
Granulator III(Live Suiteのみ)〜新アルゴリズム搭載&MPEフル対応
伝統的にLiveに付属してきたグラニュラー・シンセGranulatorがアップデート。新アルゴリズムCloudが追加され、より現代的なサウンドを得られるようになりました。外部入力や他トラックからの出力をキャプチャーして即グラニュラー・シンセシスの素材にできるようになったので、手軽に試行錯誤できるワークフローが確立されました。MPEにもフル対応。より動的なサウンドも生み出せるようになりました。
Pack各種〜個性派サウンドやシステム拡張系を追加
環境音を素材とした個性派サウンド・パック『Lost and Found』、パフォーマンス・ツールとしてのLiveを拡張するMax For Liveデバイス集『Performance Pack』、トラップ系ドラム・サウンド・パック『Trap Drums』、オールドスクール系ヒップホップ・ドラム・サウンド・パック『Golden Era Hip Hop Drums』が追加されました。どれも即戦力で、特に『Performance Pack』はセット全体のスナップショットをリコールする機能など、大幅なシステム拡張ができるので大注目です。
UIとブラウザ
シングル・ウィンドウ、フラット・デザインなど、初期のころからブレないコンセプトで進化を続けてきたLive。Live 12でも正統と言える進化を果たしています。
ブラウザ〜類似ファイルの検索やタグ検索をサポート
画面左側に表示されるブラウザが、タグ機能の追加を中心に刷新されました。楽器の種類やキャラクター、ジャンルなどのタグを選ぶと候補が絞り込まれ、目的のサウンドにたどり着きやすくなりました。サードパーティ製のプラグインやサンプルにもタグ付けでき、タグ自体もユーザー設定が可能。一度設定すれば、作業効率が段違いに良くなります。
また、ニューラルネットワークに基づいて開発された、類似サウンドの検索機能も超強力です。付属サウンドだけでなくブラウザに登録されたユーザー自前のサンプル・パックなども解析対象になるようで、近しい波形データをリストアップしてくれる上、ブラウザ内だけでなくDrum Rack内でドラムサンプルを差し替える際にも機能してくれます。
アレンジメントビュー〜ミキサーを表示可能に
Live 12では、画面レイアウトの自由度が一気に高くなりました。アレンジメントウィンドウにミキサーを表示したり、クリップビューとデバイスビューを同時に表示したりできるので、クリップ内にオートメーションを書き込む作業などを行うワークフローが格段に速くなります。
また、アレンジメントウィンドウ上に配置したオーディオ・サンプルの波形表示を垂直ズームできるようになりました。
テーマ、画面コントラスト〜視認性の高さを追求しやすい環境設定
環境設定の中で、テーマや色表示に関するタブが独立しました。引き続きさまざまなテーマが選択できます。加えて、ライト/ダークの切り替えがOS上での設定に追従するようになりました。また“ハイコントラスト”の設定が新設。個人的にこのハイコントラスト表示がとても見やすいです。
Column〜Push 3とLive 12の統合
スタンドアローン/コントローラーとしてLiveを操作できるPush 3もLive 12に合わせて進化。チューニングシステムへの対応やMeldとRoarの追加など、多くの機能が追加されています。スタンドアローン版Push 3には、Live 12で制作したプロジェクトを転送することが可能に。MPE対応プリセットも多数追加されました。
Live 12 ユーザー・インプレッション
2024年3月に登場したLive 12は、既にさまざまなプロの現場でも活躍中。ここではLive 12を使い込んでいる4名のプロ・クリエイターのコメントを紹介。Live 12を使う中で感じる魅力と、お気に入りの新機能&デバイスについて紹介していただきました。
☆Taku Takahashi
Recent Work
『traveling (Re-Recording)』
宇多田ヒカル
(EPIC/ユニバーサル)
優れたオーディオ編集&大幅に進化したMIDI機能
最近のDAWってどれもすごくできてると思うんですよね。そんな中でも僕がLiveを選ぶ理由は、オーディオの編集がどのソフトよりも直感的で自由自在だからなんです。ほかのソフトもいろいろと研究したりするんですが、オーディオ編集の部分はダントツです。逆にMIDIがほかのソフトより弱いところがあったりもしたんですが、Live 12へのアップデートでMIDIの機能がいろいろと大幅にアップデートされました。しかもLiveらしい、ちょっと変わった感じで、音楽理論が得意でない人にとっても便利な機能でいっぱいです。
Live 12のお気に入り新機能/デバイス
拡張の可能性を秘めたMIDI生成ツール
MIDIクリップに搭載されたTransform(MIDI生成ツール)。アルペジオを生成したり、鍵盤を自然に演奏したように見せたりできるんです。そしてLiveの素晴らしいところの一つが、現状で“惜しいな”って思うものがあればさらに拡張できちゃうところです。例えば、Chord PaletteというMax for Liveデバイスは、ルートを入れたらコードに変換してくれてとても便利です。
ATSUKI
Recent Work
『Dust Tapes vol.1』
ATSUKI & Nobou
(ATSUKI & Nobou)
パワーアップした検索機能で即戦力の付属シンセを発見
Live本来の特性である直感的な操作を飛躍させ、かゆい所に手が届くようにアップデートされました。使える機能もかなり増えて明らかに作業効率が上がったのを実感しています。Live 12で強化された検索機能を使い、Live付属シンセにも即戦力となる音がいろいろ隠れていることを発見できました。好きな音色を選びスケールを決めて、MIDI生成ツールのStacksで簡単なコード進行を作り、同じくMIDI生成ツールのSeedをいじるだけで使えそうなループが何十種類も作れます。これからDTMを始める人やほかのDAWから乗り換える人にもお薦めです。
個人的には、熱望していたMIDI編集機能の中のHumanizeがうれしいです。コードやリズムはこれだけでだいぶ質感が変わります。この機能だけでもかなり時短になりました。書ききれないほどできることが多くて、これ以上簡単かつ奥深いDAWはないと言っても過言ではないでしょう。
Live 12のお気に入り新機能/デバイス
Roarのプリセット「Drums Deep Bassliner」
Roarはいろいろ使えるプリセットがあり、特にDrums Deep Basslinerがお気に入りです。何に挿してもインダストリアルなサウンドに変貌します。自分の楽曲にかなり使えそうだなと思いました。
Ryosuke “Dr.R” Sakai
Recent Work
『Masterplan』
BE:FIRST
(B-ME)
作業効率の向上を体感する細かなアップデート
僕は2014年ごろからLiveを使用しているのですが、Live 12は細部まで成熟してきた印象を感じます。Live 12へのアップデートは、MIDIの変形ツールや生成ツールの搭載が大きなトピックですが、そのほかの細かなアップデートによって作業効率の向上を体感できています。例えばアレンジメントビューでもミキサー画面が見られるようになったことや、MIDI編集画面とエフェクト画面を同時に表示できるようになったことは、かなり大きなアップデートに感じます。
また、ブラウザ内での検索機能強化もワークフローの向上に大きく寄与しています。特に類似ファイルの検索機能は、ホットスワップ機能と併用すると各音色のブラッシュアップに対して直感的にスイッチングしていくことができ、とても有用です。
新たに追加されたPackも即戦力級のラインナップ。Trap DrumsやGolden Era Hip Hop Drumsは各音色の作り込みも素晴らしく、インターネット環境がないような制作現場でもリズム・トラックのサウンド・メイクを大きく助けてくれます。
Live 12のお気に入り新機能/デバイス
ハイハットの打ち込みに便利なMIDIの分割機能
MIDIの分割機能は1つのMIDIノートから32分音符や64分音符といった細断化したMIDIノートを作るのに最適です。option+E(Windowsの場合、Eを押してからCtrl)を押しながらマウスを上下するだけで好みのデュレーションで分割できるので、トラップやドリルなどのハイハットの打ち込みにとても重宝します。
Hylen
Recent Work
『Moonrise Dream』
DÉ DÉ MOUSE,Hylen,Crystal Tea
(not records)
アーティストの共通言語になり得る優秀な付属エフェクト
Live 12は、買うだけでプロ・レベルの必要なものがそろいます。付属音源はもちろん、エフェクトも直感的で、できることが豊富なのでサードパーティ製プラグインを買う頻度が減りました。特にRoarは非常に優秀で、ひずみに関してこれ以上に多機能で便利なものはないでしょう。エフェクトが優秀ということは、共通言語が増えるということ。付属エフェクトを使うことで、プラグイン所有の有無を確認する必要がないため、アーティスト同士のコライトがとてもシームレスに行えます。
MIDI生成機能も優秀で、ついつい使いがちなリズム・パターン、手癖からの脱却を手助けしてくれます。ハッピーなアクシデントもたくさん起きるので、実験的なアプローチを行うのにも最適です。嘘だと思った方はぜひ、パーカッションがたくさん入ったDrum Rackにぜひ、MIDI生成ツールを使ってみてくださいね。
Live 12のお気に入り新機能/デバイス
M/S処理が1つのデバイスで完結するRoar
僕は、より過激で実験的なサウンド・デザインを行う際にMid/Sideでタイプの違うサチュレーションやディストーションをかけるのですが、従来はAudio Effect RackとUtilityを使いMid/Sideのシグナルを分けるか、サードパーティ製プラグインを使う必要がありました。RoarにはM/Sモードが付いており、さまざまなひずませ方ができるので、これ1つで解決できます。