TAKU INOUE × ULTRASONE Signature MASTER MkII〜バランス接続に対応したシリーズ最新ヘッドホン

TAKU INOUE &Signature Master MKⅡ

制作に適した音でありながら、聴いていて楽しい音でもある

 ドイツのヘッドホンブランドULTRASONE(ウルトラゾーン)が、プロフェッショナル向けに展開する“Signatureシリーズ”。その最新モデル、Signature MASTER MkIIがリリースされた。ULTRASONEのヘッドホンを愛用し続けているTAKU INOUEに試してもらい、その魅力を深掘りしていく。

Photo:Chika Suzuki

Overview 

Signature MASTER MkⅡ

Signature MASTER MkII(110,000円)

 “Signatureシリーズ”の最新モデルSignature MASTER MkII(110,000 円)。前モデルSignature MASTERと同様に最新テクノロジー“S-Logic 3”を採用しており、密閉型のヘッドホンでありながら、スタジオモニターのような自然で聴き疲れの少ない音を特徴としている。

 MkIIとなりヘッドホン内部の基板が新規設計されたほか、Signatureシリーズ初となるバランス接続に対応。長時間の使用を考慮し、より快適な装着感が追求されているのもポイントの一つだ。

Signature MASTER MkⅡのヘッドパッド

ヘッドパッドの中央にくぼみのような切れ込みを入れる最新の“FGCテクノロジー”を採用。ヘッドパッド部が頭頂部に当たる部分の圧力を分散し、疲れにくい構造になっている。ヘッドパッド下には通気性の良いメッシュ構造を採用

Signature MASTER MkⅡの付属ケーブル

付属するストレートケーブル。前モデルSignature MASTERにも付属していたNEUTRIK製のTRSフォーンtoステレオミニ(左/3m)、ステレオミニtoステレオミニ(右/1.5m)に加え、新たに4.4mmバランスプラグtoステレオミニ(中央/1.4m)が付属する

Signature MASTER MkⅡのケース

本体、ケーブルに加え、セミハードタイプのキャリングケースが付属する

ULTRASONE製品は、密度がありながら過剰に出ている帯域がない

 ここ数年はずっとULTRASONEのヘッドホンを使っています。今はSignature MASTERを、その前はSignature Studioを使っていました。

 Signature Studioの前に他社製品を使っていたのですが、それがディスコンになってしまい、しばらくヘッドホン難民だったんです。自分に合っているものがなかなか見つからなくてずっと探していたのですが、Signature Studioを使ってみたら、“これだ!”と。密度がありながら過剰に出ている帯域がなく、バランスよくフラットに鳴ってくれるんです。それ以来ずっとULTRASONEの製品を愛用していますね。

 Signature StudioからSignature MASTERに切り替えたときには“正統進化だな”と思いました。全体的な音の傾向は同じままで、膜を1枚剥がしたように感じたのを覚えています。

スネアのリバーブがすごく奥の方まで見える

 今回リリースされたSignature MASTER MkIIは、見た目は前モデルとほぼ一緒ですが、音を聴いてみたところ“想像以上に進化しているな”と感じました。自分が今使っているSignature MASTERは、イヤーパッドを変えているので、デフォルトの状態で比較できたわけではないのですが、低域がより引き締まったことで、音の定位感や奥行きがさらによく見えるようになったなと思ったのが一番の印象。スネアのリバーブなどは、すごく奥の方まで見えますね。“演奏者がここに立っている”というイメージも浮かびやすいです。

 音の傾向は前モデルと同じなので、移行もスムーズにできそうです。正直、前モデルの時点で“自分と相性の良いヘッドホンはこれ以上ないだろう”と思っていたんですけど、こう進化するならアップデートしたいですね。

 装着感についても、前モデルと比較して確かに良くなっていると感じました。ヘッドパッドに通気性が良い素材が使われているというのもいいですね。1日の制作時間の7割くらいはヘッドホンで作業をする自分にとって、とてもうれしいポイントです。

 Signature MASTER MkIIは、曲作りにはもちろん、ミックスにもモニターにもお薦め。制作の最初から最後まで全部カバーしてくれます。自分はリスニングもこれがいいですね。制作に適した音でありながら、聴いていて楽しい音でもあるんですよ。バランス接続に対応したというのも、選択肢が広がってありがたいです。

 

TAKU INOUE
【Profile】東京に拠点を置くコンポーザー/音楽クリエイター/DJ。2009年にバンダイナムコゲームスに入社。2021年にはVIA/トイズファクトリーよりメジャー・デビューし、同年12月に初のEP『ALIENS EP』をリリース。DAOKOやEve、星街すいせい、ナナヲアカリなどの楽曲も数多く手掛ける。

 Release (7/17 Digital Release!)

ハートビートボックスのジャケット写真

『ハートビートボックス』
TAKU INOUE
(TOY'S FACTORY)

製品情報

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