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オーディオ・インターフェースSSL2&SSL2+ MKIIが登場 〜担当者が語る開発秘話

担当者が語るSSL2 MKII オーディオ・インターフェース開発秘話

4年間の技術的向上とユーザーからの声を反映させて、“誰もが手にできるSSL”をアップデートしました

大型コンソールのブランドとして名を馳せてきたSolid State Logic=SSLが2020年に発表したオーディオ・インターフェースSSL2&SSL2+。シンプルながら同社の血脈を受け継ぐアナログ回路を採用し、SL4000コンソールのサウンドを再現する4Kスイッチを入力に設け、SSLのサウンドを誰しも手に入れられるモデルとして世界中でヒットを放った。そのSSL2&SSL2+がMKIIへと刷新。伝統を継承しつつ、さらなるアップデートをした点について、来日した同社のジム・モトリー氏にお話を伺った。

SSL2 MKII & SSL2+ MKII

SSL2 MKII

SSL2 MKII|オープン・プライス(市場予想価格32,780円前後)

SSL2+ MKII

SSL2+ MKII|オープン・プライス(市場予想価格45,980円前後)

“SSLを手にする夢”を現実にした初代

——初代SSL2は、SSLにとってかなり挑戦的な製品だったと思います。SSL=プロフェッショナルが使うブランドという従来のイメージを、ビギナーからホーム・スタジオまで広げました。

モトリー SSL2の発売に先駆けて、SSLはAudiotonix Groupの一員になりました。これによって大規模な生産ラインが使えるようになり、私たちはSSLの名声を損なうことなく、これまでは難しかった大量の製品を生産できる体制となりました。一方で、私たちには非常に聡明なエンジニア陣がいます。120人のファクトリー・スタッフのうち50人はR&Dに携わる開発チームです。

——SSL2の誕生で、SSL製品のユーザーが一挙に増えました。同時に、製品に対する多数のフィードバックが寄せられたのでは?

モトリー 初代SSL2を発売した後、ユーザーからの多くの反応がありました。ちょうどコロナ禍もあり、非常に多くの方がSSL2を購入してくださいました。“SSLの音”を夢見ていた方々が実際にそれを手にする……SSLの音を低価格で実現するのは、私たちにとっても挑戦でした。そして、お客様からの反応はとてもポジティブでした。高品質で高音質、何かのコピーでもOEMでもないオーディオ・インターフェースとして、“SSLを所有していること”に満足いただいたのです。

ESS製32ビットAD/DAを搭載

——SSL2 MKIIでの改善点は?

モトリー 大きく分けて2種類のアップデートがあります。1つ目はSSL2リリース以降の技術的な向上を、SSLのエンジニア陣が反映したこと。もう1つはユーザー・フィードバックから得たものです。後者の例ですと、初代SSL2では、ケーブルをリア側にまとめることでユーザーのデスクトップが整然とまとまるだろうと我々は考えました。しかし、ユーザーからマイクをリアに接続したまま、フロントにギターを入力すれば自動的にINSTに切り替わる方がいいというご意見がありましたので、そのスタイルにしました。整然さは崩すことなく、より効率的に制作に集中できるようにするための改善です。

SSL2 MKIIのフロントには2系統のINST入力端子と、2つに増設されたヘッドホン端子が設けられた

SSL2 MKIIのフロントには2系統のINST入力端子と、2つに増設されたヘッドホン端子が設けられた

SSL2+ MKIIもINST入力とヘッドホン端子がフロント側に移動

SSL2+ MKIIもINST入力とヘッドホン端子がフロント側に移動

——前者の“技術的向上”とはどのようなことでしょうか?

モトリー 初代SSL2の発売は2020年でしたから、今回SSL2 MKII/SSL2+ MKIIに搭載したESS製32ビット/192kHz AD/DAをはじめ、4年のうちにプリアンプ、ヘッドホン・アンプなどに採用すべきパーツの性能が向上しました。これらの更新によって、ダイナミック・レンジや出力レベルの増強を図っています。また、SSL2+の出力端子は、初代ではDJ用途も考慮してRCAピンも併装していましたが、MKIIではすべてDCカップリングのTRSフォーンとし、モジュラー・シンセサイザーのCVを扱うことも可能となりました。特にSSL2+ MKIIはMIDI IN&OUTも搭載していますので、こうした用途にも便利にお使いいただけます。

SSL2 MKIIのリア。ヘッドホン端子をフロント側に移設したので、TRSフォーンでの出力×2とXLR/TRSフォーン・コンボ入力×2となっている

SSL2 MKIIのリア。ヘッドホン端子をフロント側に移設したので、TRSフォーンでの出力×2とXLR/TRSフォーン・コンボ入力×2となっている

SSL2+ MKIIのリア。MIDI IN/OUTに続く、すべてTRSフォーンとなった出力端子×4はDCカップリングに対応。右にXLR/TRSフォーン・コンボ入力×2

SSL2+ MKIIのリア。MIDI IN/OUTに続く、すべてTRSフォーンとなった出力端子×4はDCカップリングに対応。右にXLR/TRSフォーン・コンボ入力×2

INST入力端子が独立し自動検知になったことで、従来各チャンネルにあったINST切り替えスイッチの替わりにハイパス・フィルターが設けられた。また先代モデルでは入力シグナルが各スイッチ回路を通過していたが、MKIIではスイッチには直接シグナルは通らず、切り替えの信号のみを送る仕様に変更。音質改善に寄与しているという

INST入力端子が独立し自動検知になったことで、従来各チャンネルにあったINST切り替えスイッチの替わりにハイパス・フィルターが設けられた。また先代モデルでは入力シグナルが各スイッチ回路を通過していたが、MKIIではスイッチには直接シグナルは通らず、切り替えの信号のみを送る仕様に変更。音質改善に寄与しているという

マイクプリなどアナログ部分も改善

——端子の位置やパーツの変更などがあると、大きく回路デザインも変わるのでは?

モトリー 入力端子については確かにそうですが、大きく基板設計を変更した点はありませんでした。というのも、初代SSL2は当時のこのクラスでは最もノイズの少ないデザインのオーディオ・インターフェースでしたから、基本的にはチップの入れ替えで対応できたのです。

——では回路そのものは初代SSL2と同一なのでしょうか?

モトリー いえ、ライン・ドライバーやヘッドホン出力も改善していますし、実はマイク・プリアンプのゲインも62dBから64dBに増強しています。資料では“定評あるSSL aPre+4Kスイッチ”と記載していますが、実はevolution(進化)があるのです。開発チームは、配信者に人気のSHURE SM7Bをはじめ、SHURE SM58、NEUMANN U 87、KM84、AKG C451、AUSTRIAN AUDIO OC18などさまざまなマイクでテストしていました。また、ギターはシングル・コイルとハムバッカー、ベースもパッシブ/アクティブ両方でテストを重ねてきています。

——SSL2の象徴とも言える4Kスイッチは?

モトリー 4K回路自体には変更はありませんが、プリアンプの改良によってよりオープンでダイナミック・レンジが増したサウンドになると思います。4Kの元となったSSLコンソールを通ったサウンドは、皆さん絶対耳にしていますから、まさにSSLの音を手にできるものとして、初代以上に活用していただきたいと思います。

SSL2 MKII & SSL2+ MKII 製品情報

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