“家だと奇麗に録音できない”“宅録の音は処理が手間”とお悩みの方に向けたセミナー。ソニーのC-80は、自宅環境での録音を想定して開発されたコンデンサー・マイクで、これを使えばいかに歌録りと録音後の音作りがスムーズにできるかを解説した。講師はVaundyなどを手掛けるエンジニア=照内紀雄だ。
C-80はキャラクターが非常に明確なので、処理がシンプルになって完成までが速い
C-80の特性を分かりやすく示すために、同じくソニーのC-100を同時に立てて録音。C-100は2ウェイ・マイク・カプセル構成により、超高域まで捉えるレンジの広さと解像度の高さが特徴のマイクだ。プレイバックの際はC-80とC-100を順に試聴した後、両者を切り替えながら聴くというチェックも行った。併用したオーディオI/Oは、自宅環境でもよく使われるUNIVERSAL AUDIO Apollo Twin Xだ。
ボーカリストはオルタナ・ダンス・ミュージック・ユニットUilouのjune-chanで、普段のセッティングと同じくらいという10cm前後のオンマイクで歌唱。プレイバックを経て照内は「C-80の音はオケ中でも前に出る印象」と語る。june-chanも「歌にフォーカスしていて、このまま音源化してもいいのではと思うほど奇麗な音だと思う」と言い、早くもC-80のポテンシャルを感じた模様。これを受けて照内が「ミックスをあらかじめ手助けしてくれるようなマイク。現段階で既に良い感じなので、最低限の処理だけをしていこうと思います」と話す。
その処理の内容とはEQやコンプ、リバーブといったシンプルなもの。まずはC-80の歌をソロ再生しつつ、ものすごい速さでEQとコンプの設定を進める。録り音の課題をどう見つけて、どう解決するかがプラグインの操作とともに解説されたので、プロ・エンジニアの思考と技の一端を見ることができた。「C-100の音はレンジの広さが特長の一つですし、最終的にはより本格的な仕上がりにできると思いますが、その分、ミックスの技量が出やすいとも考えられます。一方、C-80はキャラクターが非常に明確なので、それに従って音作りすればいい。だから自ずと処理がシンプルになって、完成形に持っていくのも速くなります」と照内。自宅環境で“使えるボーカル・サウンド”を素早く手に入れたい人は、本セミナーの動画に学ぼう。
【Profile】青葉台スタジオ所属のエンジニア。Vaundy、ザ・リーサルウェポンズ、和ぬか、なとり、a子、キタニタツヤ、大橋ちっぽけ、[Alexandros]、マハラージャン、超ときめき♡宣伝部などを手掛ける。