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【サンレコフェスセミナー】プロ・エンジニアはなぜAVID Pro Toolsを選ぶのか by 中村美幸

【サンレコフェスセミナー】プロ・エンジニアはなぜAVID Pro Toolsを選ぶのか by 中村美幸

 青葉台スタジオ所属のエンジニア、中村美幸が登壇したAVID Pro Toolsセミナー。プロの目線から見たPro Toolsの魅力を語ってもらったほか、エンジニアならではのオーディオ・エディット作業を間近で見られるという貴重な回となった。

録ったままのオーディオ・データを人と共有できるのがメリットです

 Pro Toolsを仕事で使う上でのメリットについて、“レコーディングで使うDAWとしての強み”があると中村は語った。例えば、演奏者がPro Toolsを通した音をモニターする場合のレイテンシーの少なさ。商業スタジオに導入されているPro Toolsの多くは、DSPカードを使用したシステム=Pro Tools|HDXで稼働している。プラグイン処理をコンピューターのCPUでなくHDXカードのDSPへ任せることで、ニアゼロ・レイテンシーで音をモニターをしながらレコーディングが行えるのが魅力だ。加えて、中村はPro Toolsのオーディオ・エディットのしやすさも評価した。1サンプルまで波形を拡大して表示/編集できるのは、MIDIデータではなくオーディオ・ファイルを扱うことが多いエンジニアにとっては重要なポイントだそうだ。

 また、プロ・エンジニアにPro Toolsユーザーが多いことは、データのやり取りの面でもメリットになると言う。例えばレコーディング・エンジニアからミックス・エンジニアにデータを渡す際、違うDAWのユーザー同士であれば一度オーディオ・ファイルを書き出して共有することになるが、エンジニアとしてはできる限り録ったままのオーディオ・データでやり取りするのが望ましいとのこと。Pro Toolsユーザー同士であれば、不要な書き出しをすることなくプロジェクト・ファイルごとシェアすることが可能だ。

 セミナー後半からは歌のエディットにフォーカスし、中村が普段行っているテイクのつなぎやノイズ処理、SYNCHRO ARTS RePitchでのピッチ・エディットを解説してくれた。テイクのつなぎにおいては、うまくつなげるためのコツや波形のポイントの見極め方も紹介。ショートカット・キーを駆使しながらPro Toolsを素早く操作する中村の手さばきに驚く観客も多かった。その模様はセミナー動画にて確認してほしい。

Pro Tools上でSYNCHRO ARTS RePitchを起動した様子。2024.6からARA 2に対応したことで、シームレスにボーカル・エディットを行うことが可能となった。中村はRePitchのほか、ANTARES Auto-TuneやCELEMONY Melodyneを用途に合わせて使い分けている。

Pro Tools上でSYNCHRO ARTS RePitchを起動した様子。2024.6からARA 2に対応したことで、シームレスにボーカル・エディットを行うことが可能となった。中村はRePitchのほか、ANTARES Auto-TuneやCELEMONY Melodyneを用途に合わせて使い分けている。

中村美幸

【Profile】2019年より青葉台スタジオに所属するレコーディング/ミキシング・エンジニア。BillyrromやQUBIT、安田レイなどのアーティスト作品を手掛けるほか、神山羊やサカナクションのライブ・スタッフも務めている。

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