2024年8月公開の記事「プロの目線でiLoud Precision MTM、iLoud MTM MKII、ARC Studioを徹底レビュー」では、IK Multimediaのモニター製品を用いて、ARC Systemによるキャリブレーションやサウンドのレビューを、エンジニアの福田聡に行ってもらった。当セミナーはその出張版とも言える形で、キャリブレーション手順を実践。さらにその環境下で、福田が手掛けた楽曲のミックス解説を行ってもらった。
正しい音でモニタリングするためにもキャリブレーションは大事です
本題へと入る前に、サンレコフェス直前に発表された新たなモニター・スピーカーiLoud Micro Monitor Proについて触れておく。福田には本機を事前に試してもらっており、その印象を次のように語っていただいた。
「iLoudシリーズの長所であるトランジェントの分かりやすさがあって、かつ奥行きもよく見える。その印象がありつつフラットなサウンドで、モニターとしての聴きやすさを感じましたね。XLR入力端子が装備されたのも自分にとっては好印象です」
そして、キャリブレーションの実践。まずはスピーカー・キャリブレーション・システムのARC Studioを使用し、ARC MEMSマイクで1カ所ずつ測定をしてキャリブレーションを行っていった。福田は言う。
「例えば、低域にクセのあるモニター環境(スピーカー環境)で作業していた場合、よそで聴いたらスカスカだった、ということが起こりかねませんよね。ミックスで迷うことは誰にでもあると思いますが、基準となるものは必要。正しい音でモニタリングするためにも、キャリブレーションは大事です」
次はiLoud Precision MTMでのキャリブレーション。こちらはスピーカーにARC Systemが内蔵されている。測定を行う上での注意点、専用ソフトウェアARC 4やX-Monitorの便利な機能や操作性も解説しているので、ぜひ動画をご覧いただきたい。
最後に福田がミックス/マスタリングを手掛けた越智俊介の楽曲「だいじょうぶ」を元に、ミックス・テクニックを披露。“ボトムを作り込んでから、いったんバラして、歌を生かすように構築していく”など、実際のプロジェクトや使用したプラグインの画面を見ながら行う解説は必見だ。
【Profile】レコーディング/ミキシング・エンジニア。ファンクを軸として、主にグルーヴ重視のサウンドを手掛ける。また、リズム録りが生きがいのひとつであり、ジャンル問わず多くの生バンド作品でも腕を振るう。