ワイヤレス・マイクSENNHEISER Profile Wirelessの機能紹介&開発ストーリー 〜Rock oN Monthly Recommend vol.79

SENNHEISER Profile Wireless 〜Rock oN Monthly Recommend vol.79

 注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店に話を聞く、Rock oN Monthly Recommend。今回は、SENNHEISERがポッドキャスターや動画クリエイターに向けてリリースした2.4GHz帯ワイヤレス・マイク、Profile Wirelessを紹介する。2chのクリップ・マイクと受信機としてだけでなく、ハンドヘルドとしても活用できるという画期的なこのマイクについて、ゼンハイザージャパンの吉原理氏とメディア・インテグレーションの松本章吾氏に話を聞いた。

SENNHEISER Profile Wireless

オープン・プライス:市場予想価格55,000円前後

収納ケース兼充電バー。受信機と送信機を格納できるほか、アダプターやクリップ・マイク装着用マグネットなども収納できる。写真左側にあるのが受信機だ

収納ケース兼充電バー。受信機と送信機を格納できるほか、アダプターやクリップ・マイク装着用マグネットなども収納できる。写真左側にあるのが受信機だ

受信機にはステレオ・ミニ端子のライン・アウトとヘッドホン・アウトがあり、付属ステレオ・ミニ・ケーブルで接続したカメラなどへの録音、ヘッドホンでのモニターに対応する。写真のようにUSB-CアダプターやLightningアダプターでパソコンやモバイル・デバイスに接続して録音も可能だ

受信機にはステレオ・ミニ端子のライン・アウトとヘッドホン・アウトがあり、付属ステレオ・ミニ・ケーブルで接続したカメラなどへの録音、ヘッドホンでのモニターに対応する。写真のようにUSB-CアダプターやLightningアダプターでパソコンやモバイル・デバイスに接続して録音も可能だ

送信機は2ch分がセットになっている。本体のマイクのほか、ステレオ・ミニ端子で外部ラベリア・マイクを接続&ロックして使用することも可能だ

送信機は2ch分がセットになっている。本体のマイクのほか、ステレオ・ミニ端子で外部ラベリア・マイクを接続&ロックして使用することも可能だ

充電バーに送信機を格納できる。この状態でウィンド・ガードを付ければ、ハンドヘルド・マイクとして使用可能だ

充電バーに送信機を格納できる。この状態でウィンド・ガードを付ければ、ハンドヘルド・マイクとして使用可能だ

ハンドヘルドでの使用イメージ

ハンドヘルドでの使用イメージ

セット内容。充電バー、受信機、送信機×2のほか、USB-C/Lightningアダプター、ステレオ・ミニ・ケーブル、USB-Cケーブル、ウィンド・シールド、専用ポーチが付属する。ケーブル以外は充電バーに収納や装着でき、ケーブルも専用ポーチに入れることでコンパクトにまとまる

セット内容。充電バー、受信機、送信機×2のほか、USB-C/Lightningアダプター、ステレオ・ミニ・ケーブル、USB-Cケーブル、ウィンド・シールド、専用ポーチが付属する。ケーブル以外は充電バーに収納や装着でき、ケーブルも専用ポーチに入れることでコンパクトにまとまる

●今回のProfile Wirelessは、2023年に発売されたUSBマイクのProfile USB Microphoneと同じProfileシリーズに属する製品です。これらはポッドキャスターやストリーマーなどのクリエイターに向けたシリーズになっていますが、やはり近年の需要に応えて生まれたのでしょうか?

吉原 弊社ではショットガン・マイクのMKE 200やMKE 400など、動画クリエイター向けの“A4V”というカテゴリーのマイクを展開していました。それとは別に、配信シーンに合わせたマイク・カテゴリーとして生まれたのがProfileシリーズです。

 

●今では配信や動画投稿を行う人口が増え、音響機器になじみがない人もマイクを購入して使用していますよね。

松本 YouTuberが外でのロケでクリップ・マイクを付けているというのも、最近ではよく見るようになりました。Vlogカメラに付属していることもあるので、胸元にマイクを装着して動画を録るということに違和感を示さない層が増えてきたんだと思います。そんな中、新しい提案としてSENNHEISERが出してきたのがProfile Wirelessですね。

 

●Profile Wirelessを見て最初に驚くのが、クリップ・マイクからハンドヘルドへ変貌するという形状です。このアイディアはどこから生まれたのでしょう?

吉原 近年、弊社は積極的にユーザーからの意見を取り込んで製品を開発しています。例えば、2024年に発売したHD 490 Proというヘッドホンは、開発段階から世界の主要な都市でのユーザー・テストを実施し、実際にどういったことがヘッドホンに求められているのかフィードバックを得た上で開発を行いました。同様に、Profile Wirelessもユーザーのインプレッションを聞きながら開発したんです。クリエイター向けの2.4GHz帯ワイヤレス・マイク・システムは他社からもさまざまな製品がリリースされており、弊社は後発にあたります。だからこそ、他社のワイヤレス・マイクを使っているユーザーからの意見も取り入れ、どんなシチュエーションにおいてもすぐ使える、汎用性の高いマイク・システムとして作り上げました。

 

●実際にProfile Wirelessで使えるスタイルはどのようなものでしょうか?

吉原 2chのクリップ・マイク+受信機のほか、クリップ・マイクを充電バーに挿入してウィンド・シールドを装着し、ハンドヘルドとして使うこともできます。充電バーは三脚に立てることができるので、スタンド・マイクとしても使用可能です。また、クリップ・マイクにはロック式TRSミニ端子があり、弊社のME 2などの外部ラベリア・マイクを接続することもできます。ちなみに受信機と送信機の連続稼働時間は最大7時間ですが、充電バーに装着すると給電しながら使えるので最大15時間まで駆動可能です。

松本 これまでに見たことがないデザインですよね。意外とクリップ・マイクをハンドヘルド的に使いたいという場面は多いらしく、インタビュー動画などでも手に持った状態で話しているのをよく見かけます。クリップ・マイクを格納してハンドヘルド状にできるアクセサリーを見かけることもありますが、Profile Wirelessは充電バーをそのアクセサリーにして、さらにアダプターなどのパーツを格納できるようにしてしまったのがすごい。クリップ・マイクはマグネットを使って服に取り付けることも可能で、そのマグネットも充電バーの“こんなところに!?”という場所へ奇麗に収納されていてとても驚きました。

Profile Wirelessの使用シーン例。付属のコールド・シュー・アダプターでカメラに受信機をセットして、ライン・アウトからステレオ・ミニ・ケーブルでカメラのオーディオ・インへ入力している。送信機はクリップが付いているため、服の襟などへ挟み込むことも可能だが、付属のマグネットを使用することで写真右のように装着することもできる

Profile Wirelessの使用シーン例。付属のコールド・シュー・アダプターでカメラに受信機をセットして、ライン・アウトからステレオ・ミニ・ケーブルでカメラのオーディオ・インへ入力している。送信機はクリップが付いているため、服の襟などへ挟み込むことも可能だが、付属のマグネットを使用することで写真右のように装着することもできる

受信機と充電バーには三脚用の穴が備わっており、写真のように立てて使用することが可能。写真左は受信機をスマートフォンへ接続して三脚に立て、送信機を服へ取り付けた動画撮影のセットアップ。写真右は充電バーに送信機を格納して三脚に立て、デスクトップ・マイクとして活用している様子だ

受信機と充電バーには三脚用の穴が備わっており、写真のように立てて使用することが可能。写真左は受信機をスマートフォンへ接続して三脚に立て、送信機を服へ取り付けた動画撮影のセットアップ。写真右は充電バーに送信機を格納して三脚に立て、デスクトップ・マイクとして活用している様子だ

カメラに装着するためのコールド・シュー・マウント、パソコンやスマートフォン、タブレットに接続するためのUSB-CアダプターとLightningアダプターを、充電バーに収納した様子

カメラに装着するためのコールド・シュー・マウント、パソコンやスマートフォン、タブレットに接続するためのUSB-CアダプターとLightningアダプターを、充電バーに収納した様子

 

●ポータビリティを意識したデザインなのでしょうか?

吉原 そうだと思います。専用ポーチも付属していて、そちらにはProfile Wireless本体やケーブル、ウィンド・シールドなどが全部収納できるんです。実際に現場で使われる人からは、“忘れ物の心配がない”“持ち物のチェックの手間が減る”と意見をいただいています。こういったマイク・システムは細かなパーツやアダプターが多いので、どうしてもごちゃごちゃとしてしまいがちですが、Profile Wirelessはスムーズな使用ができるように配慮されたデザインになっているんです。

 

●機能面の特徴は?

吉原 受信機はコールド・シュー・マウントでカメラに取り付けられるほか、USB-CアダプターやLightningアダプターを使ってスマートフォンやタブレット、パソコンへ接続可能です。また、各送信機に16GBメモリーが内蔵されており、そちらへバックアップ録音することもできるようになっています。ワイヤレス接続の信号が弱くなったときに自動でバックアップ録音する設定が可能です。

 

●バックアップ録音は、音響機器に慣れていない人でも安心して使えるポイントですね。

吉原 ほかにもセーフティ・チャンネル・モードという機能があります。このモードではバックアップとして−6dBの信号が受信機から出力されるので、音声のクリップ対策が可能です。

 

●録音のフォーマットは?

吉原 24ビット/48kHzです。“32ビット・フロートじゃないの?”と疑問に思われる方もいるかもしれません。32ビット・フロートが提供するダイナミック・レンジの柔軟性は素晴らしいですが、すべてを解決するものではありません。例えば32ビット・フロートであっても、大音量を受けた際にマイク・カプセルでオーバー・ロードする問題を防ぐことはできません。そのため、Profile Wirelessでは異なるアプローチとして、前述のセーフティ・チャンネル・モードを搭載しています。

松本 送信機本体に直接記録されるというのは使いやすいと思います。複雑な設定もいらず、USBケーブルで接続して録音データを引っ張ってくればいいだけですしね。

吉原 Profile Wirelessはアプリでの操作が必要なく、本体上のコントロールで完結するというのもポイントです。受信機のタッチ・スクリーンだけで素早い設定が可能になっています。取り出してすぐ録音を開始することもできますし、しっかりと調整したい場合は入力ゲイン設定を決めることも可能です。送信機側では物理ボタンで信号のオン/オフができ、ミュート動作も行えます。

松本 モノラル・モードとステレオ・モードがありますが、それぞれどのような録音になりますか?

吉原 モノラル・モードは、2chのマイクの信号をモノラルとしてマージします。ステレオ・モードは、2chのマイクをそれぞれL/Rchとしてステレオで出力するんです。

 

●ステレオ・モードはどのような用途で使えそうでしょうか?

松本 後からノイズ処理をしたい場合に有効ですね。例えば2chのマイクで2人の話者を収録したとします。1人のマイクに衣擦れなどのノイズが入ってしまったとき、L/Rchを分離してモノラル・ファイルにすれば、ノイズが入ってしまった人の音声にだけノイズ処理を施すことが可能です。ちなみにProfile Wirelessにはノイズ・キャンセリング機能はありませんよね?

吉原 ローカット・フィルターのみ内蔵しています。

松本 他社マイクでノイズ・キャンセリングを搭載しているモデルもありますが、どうしても原音への影響はありますからね。マイクとしての音で勝負するため、中途半端な機能は入れないというSENNHEISERの想いが感じられます。

吉原 おっしゃる通りですね。やはり音の入口部分における自信の現れだと思います。

 

●先鋭的なデザインを取り入れつつも、マイク・ブランドとして音への妥協はなく、幅広い層へアプローチできるプロダクトですね。

吉原 これから動画制作や配信用のマイクを導入しようと考えている方はもちろん、よりプロフェッショナルな人たちにも使っていただけるようなマイクになっていると思います。使い方はユーザー次第なので、可能性にあふれたマイクと言えるでしょう。 松本 アクセサリー展開でさらなる進化が期待できそうです。今後の成長が楽しみなワイヤレス・マイク・システムになっています。


ゼンハイザージャパンの吉原理氏(写真左)、メディア・インテグレーションの松本章吾氏(写真右)

ゼンハイザージャパンの吉原理氏(写真左)、メディア・インテグレーションの松本章吾氏(写真右)

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