MOTU 828 〜Rock oN Monthly Recommend vol.71

MOTU 828 〜Rock oN Monthly Recommend vol.71

 注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店に話を聞くRock oN Monthly Recommend。今回はMOTUのオーディオ・インターフェース828について、代理店を務めるハイ・リゾリューションの百瀬翔氏と、Rock oN Companyの村上嘉基氏に話を聞いた。

Photo:Takashi Yashima(except*)

828

828

828|オープン・プライス(市場予想価格:169,400円前後)

 Mac/Windows/iOS対応のUSBオーディオ・インターフェース、828。初代は2001年に発売され、今年リリースされたこのモデルが第5世代となる。アナログとデジタルを合わせて、合計28イン/32アウトの入出力を1Uサイズで実現。フロント・パネルにはマイク/ライン/インスト・イン×2(XLR/フォーン・コンボ)、ヘッドホン・アウト×2(ステレオ・フォーン)が備わっている。

リア・パネル。ワード・クロック入出力(BNC)やオプティカル入出力×2、USB-C端子、S/P DIF入出力(コアキシャル)、MIDI OUT/IN、フット・スイッチ入力、ライン・アウト×8(TRSフォーン)、メイン・アウト(XLR L/R)、ライン・イン×8(TRSフォーン)、インサート入出力×2(TRSフォーン)が並ぶ

リア・パネル。ワード・クロック入出力(BNC)やオプティカル入出力×2、USB-C端子、S/P DIF入出力(コアキシャル)、MIDI OUT/IN、フット・スイッチ入力、ライン・アウト×8(TRSフォーン)、メイン・アウト(XLR L/R)、ライン・イン×8(TRSフォーン)、インサート入出力×2(TRSフォーン)が並ぶ

3.9インチの24ビットRGB LCDディスプレイを搭載しており、高精細なメーター表示でレベルのチェックが可能だ。アナログ入出力のみ、デジタル入出力のみなど、必要に応じた表示にカスタムできるのも特徴となっている

3.9インチの24ビットRGB LCDディスプレイを搭載しており、高精細なメーター表示でレベルのチェックが可能だ。アナログ入出力のみ、デジタル入出力のみなど、必要に応じた表示にカスタムできるのも特徴となっている

●Digital Performerユーザー以外でも、MOTUのオーディオ・インターフェースを愛用している方は多い印象です。評価されている理由は何だと思いますか?

百瀬 デジタル・レコーディングの草創期から、MOTUはオーディオ・インターフェースをリリースし続けてきました。時代を支えてきたブランドとしての認知度と信頼性があり、愛用されてきたのだと思います。また、近年ではM2やM4、M6といったMシリーズの登場によって、さらに多くの方にMOTUのオーディオ・インターフェースが使われるようになりました。特に、DAコンバーターとしての性能に評判をいただいています。828をはじめ、UltraLite MK5やMシリーズにはESS TechnologyのハイエンドDACを採用していることも一つのポイントです。クリアで分離も良く、音楽制作に向いたサウンドになっており、それがエントリー・グレードのMシリーズから入出力が豊富な828まで、共通して備わっているというのが魅力になっていると感じます。

村上 ESSのDACチップは2017年発売の828ESでも採用されていましたよね。そこからM2とM4が登場して、手に入れやすい価格ながら上位機種と同じDACチップを載せているということが話題になっていました。

百瀬 実は搭載しているDACチップの公称スペックより、828は性能が上回っているんです。それは“MOTUのエンジニアリングの賜物”だそうで、DACチップの持つ性能を最大限以上に引き出せる設計技術を持っているのもMOTUの強みだと思います。

 

●MシリーズからMOTUのオーディオ・インターフェースを使いはじめた人のステップアップとして、828は選択肢に入ってきそうですね。DAコンバーターが共通ですし、入れ替え後もスムーズに作業が行えそうです。

百瀬 828シリーズだと、2011年発売の828MK3 Hybridを使い続けている人も多いです。その方々の機材アップデートとしても、今回の第5世代となる828を検討いただきたいですね。

 

●レイテンシーの低さも強調されていますね。

百瀬 Macではドライバーなしでも動作しますが、Windows同様にドライバーを使ってもらうとさらに低レイテンシーでレコーディングを行っていただけます。楽器の録音ではトランジェント成分がよく感じられ、モニタリングもしやすくなるというのが演奏者に評価いただけているポイントです。

 

●828とUltraLite MK5は、共に第5世代と謳われているオーディオ・インターフェースですが、それぞれどのような方にお薦めできますか?

百瀬 一番の違いは入出力数で、828は28イン/32アウト、UltraLite MK5は18イン/22アウトです。また、マイクプリは828がUltraLite MK5より高いグレードのものを採用しており、現状ではMOTUインターフェースの中で最高のパフォーマンスになっていると言えます。入出力数と音質を求める方は828が良いと思いますし、持ち運びも考えている方はハーフ・ラック・サイズのUltraLite MK5がお薦めです。

村上 828もUltraLite MK5も、同じ入出力数や機能性を持つ他社製品と比べて価格がかなり抑えられています。優れたコスト・パフォーマンスで、多くの方が導入しやすい製品になっていますね。

 

●828を実際に試してみた印象はいかがですか?

村上 僕はデスクトップ・タイプのTrack16を以前愛用していて、それと同じくらい828も扱いやすい操作性になっていると感じました。音質面もESSのDAコンバーターの良さが出ていると思いますが、ユーザーからはどのようなコメントが来ていますか?

百瀬 レンジが広く、よりハイファイなサウンドになったと評価いただくことが多いです。今までMOTUのオーディオ・インターフェースは中低域が特徴的で、アナログっぽい、前に出てくる太さを持ったサウンドでした。828ではよりオーディオ的になり、モニタリングしやすい傾向になったと思います。同じESSのDAコンバーターを載せた828ESと比べても、ぐっと解像度が高まって、密度の濃い音になったと感じました。組み合わせるスピーカーやプリアンプなどともなじみやすく、扱いやすい音になった印象です。

村上 筐体も変化していますよね。以前までMOTUのオーディオ・インターフェースというと丸みを帯びている印象でしたが、今回の828は四角くフラットになっています。828ESと比べると奥行きも増えました。

百瀬 優れた音質に加え、多くの入出力のアナログ回路を導入するためにサイズが変更となり、外装もアップデートされました。

村上 とはいえ、1Uサイズでこれだけの入出力を備えているのはすごいですよね。最近はソフトウェア上で制作を完結する方も多いので、コンパクトなオーディオ・インターフェースが人気ですが、将来的にI/Oを拡張する必要が出てくる場面もよくあります。それであれば、最初から多くの入出力を持ったオーディオ・インターフェースを持っていたほうが制作の幅も広がると思うんです。

 

●828はUSBオーディオ・インターフェースとしてだけでなく、スタンドアローンのミキサーとしても使えますし、入出力の多さはハードウェア・シンセなどの楽器を多く扱うユーザーも重宝しそうですね。

村上 これがすごく良いですよね。パソコンの立ち上げはある程度時間がかかりますが、828は起動が速いため、接続しているハードウェアの音出しをパッと行えます。加えて、今回からセンド&リターン端子が搭載されていて、使い勝手が良いポイントになっていると感じました。

百瀬 828はCueMix 5というミキサー・アプリでリモート・コントロールが可能です。このアプリはMacとWindowsだけでなくiOSでも使うことができるので、スタンドアローン動作+アプリでのリモート・コントロールでの運用も便利に活用いただけるはずです。

828をコントロールできるミキサー・アプリ、CueMix 5。幾つかのタブで構成されており、この画像のHOMEタブではマイク/ライン/インスト・インやメイン・アウト、ヘッドホン・アウトの操作などが可能だ。A/Bモニタリングやトークバックの設定、インプット・モニタリングのルーティングも行える

828をコントロールできるミキサー・アプリ、CueMix 5。幾つかのタブで構成されており、この画像のHOMEタブではマイク/ライン/インスト・インやメイン・アウト、ヘッドホン・アウトの操作などが可能だ。A/Bモニタリングやトークバックの設定、インプット・モニタリングのルーティングも行える

 

●そのCueMix 5はどんな機能が備わっているのでしょうか?

百瀬 アナログとデジタルを含む入出力のルーティングはもちろん、A/Bモニタリングやトークバック、DSPエフェクトの設定が可能です。DSPエフェクトは、各チャンネルでゲートとコンプレッサー、4バンドのパラメトリックEQを使用することができます。また、メイン・アウトやヘッドホン・アウトなど、各アウトのミックスに対して3バンドのパラメトリックEQを使うことも可能です。これらのエフェクトはかけ録りもできますし、モニターにだけ適用してドライ信号をDAWに録音することもできます。

村上 多機能ですが、どういう操作が行えるのか一見して分かりやすい、視認性の優れたユーザー・インターフェースになっていると思います。

百瀬 また、CueMix 5ではUSB経由でのコンピューター・オーディオをステレオ換算7chのマルチチャンネルで受けることができます。そのため、DAW上の各トラックを別チャンネルで受け、828内でミックスするということも可能になっているんです。Discordなどの音声や、PCゲームのサウンドも別に受けられ、パソコンに負荷をかけずにミックスしてOBS Studioなどに送ることもできるため、配信者の方にもお薦めできます。配信ではとっさに音量調整をしないといけないシーンもよくありますし、CueMix 5をiPadなどに常時表示しておけば、そういう場面でもスムーズにミックスをコントロールすることができると思いますね。

内蔵ミキサーをコントロールするタブ。メイン/ヘッドホン/ライン・アウトへのミックスを個別に作ることができる。各チャンネルでDSPエフェクトの4バンドEQとコンプ、ゲートを使用可能。さらに各ミックス・アウトに対しても3バンドEQを使うことができる。リバーブも内蔵しており、REVERBタブから各チャンネルのセンド量をコントロールすることが可能だ

内蔵ミキサーをコントロールするタブ。メイン/ヘッドホン/ライン・アウトへのミックスを個別に作ることができる。各チャンネルでDSPエフェクトの4バンドEQとコンプ、ゲートを使用可能。さらに各ミックス・アウトに対しても3バンドEQを使うことができる。リバーブも内蔵しており、REVERBタブから各チャンネルのセンド量をコントロールすることが可能だ

 

●MOTUならではの優れた音質と、豊富な機能が詰め込まれたオーディオ・インターフェース/ミキサーで、幅広いシーンで活用できる製品になっていると感じました。

百瀬 プロからアマチュアの方まで、多くの人が導入しやすい価格帯ながら、豊富な入出力と最高グレードの音質を実現した製品です。ぜひミュージシャンだけでなく、配信者にも試してもらいたいですね。今は音楽制作だけでなく、動画作成やライブ配信など、複数の活動を行う人も多いですし、クリエイターとしてさらに上を目指したいと考えているモチベーションの高い方にとって、心強いツールになってくれるはずです。

村上 MOTUのオーディオ・インターフェースは長く使っていけるプロダクト設計になっていると思いますし、今までコンパクトなモデルを使ってきたという方も、ぜひ次のステップアップとして828を検討してもらえたらと思います。


ハイ・リゾリューションの百瀬翔氏(写真左)と、Rock oN Companyの村上嘉基氏(写真右)

ハイ・リゾリューションの百瀬翔氏(写真左)と、Rock oN Companyの村上嘉基氏(写真右)

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