音楽制作ツールの使いこなしをレクチャーするオンライン・セミナー『サンレコ クリエイティブデイズ』が開講! 2024年4月30日〜5月2日の3日間にわたり、3本の動画をサンレコ公式YouTubeチャンネルにて公開した。ここでは各セミナーのポイントをピックアップしてダイジェストで紹介。制作に役立つTipsが満載なので、詳しくはぜひ各動画をご覧いただきたい。
Avid Pro Tools Studio/Ultimateのバージョン2023.12以降に、Dolby Atmos Rendererが統合された。そこで編集部は、イロハに本環境を活用した空間オーディオ楽曲の制作を依頼。動画では、その完成形を披露していただき、作曲やミックスの工程を詳しく伺った。
【動画】Avid Pro Toolsで空間オーディオ楽曲制作 by イロハ
講師:イロハ
【Profile】作曲家/アレンジャー/エンジニア/マニピュレーター/マルチプレイヤー。「取リ沙汰」「さらばルバート」など自身のバンドやユニットで活動するほか、福山雅治の楽曲制作やコンサートにも携わっている。
音の動きを思った通りに再現できた。意外にハードルは高くない
空間オーディオ楽曲は、さまざまな配信プラットフォームで楽しむことができるものの、その制作に関する情報は非常に少ない。この状況を打開すべく本動画は企画された。そのきっかけとなったのは、2023年末にリリースされたAvid Pro Tools Studio/Ultimate 2023.12だ。このバージョンには、空間オーディオの一種であるDolby Atmosに対応したファイルを出力するためのアプリケーション、Dolby Atmos Ren
dererが統合されている。これにより、空間オーディオ楽曲制作は非常に身近なものとなった。
本動画冒頭でイロハは、空間オーディオの基礎的な解説を行った後、今回の楽曲「Toy」はバイノーラル環境で制作したことを説明。つまり、ヘッドホンやイヤホンさえあれば、スピーカー環境がなくても空間オーディオは制作可能というわけだ。また、本曲のコンセプトについては「空間を広く使った楽曲を制作したいと考えました」と語る。
「例えば、前後に行き交ったり、あるいは高いところから下りてきたり、点から広がっていくような演出など、そういう音を生かせるような曲にしたいと思いました」
音を動かすにあたって、基本となるのはパンナーのオートメーションだが、今回はサードパーティ製のパンナー、SOUND PARTICLES Energy PannerとBrightness Pannerも大活躍している。前者は音量、後者は音の明るさでパンを動かしてくれるというもの。さらに、シンセ・ベースの音源にはSOUND PARTICLES SkyDust 3Dを使用。8つのオシレーターが空間内を飛び交うサウンドを披露してくれた。
楽曲制作について苦労した点も伺ってみたが「プラグインを2つくらい使うだけで、音の動きを思った通りに再現できたので、意外にハードルは高くないと思いました」とイロハ。そう、“空間オーディオ楽曲制作は、実は難しくない”のだ。百聞は一見にしかず、ぜひ本動画で確認してほしい。