待望の新作ヘッドホン!Audio-Technicaが打ち出す“真の開放型”とは?

待望の新作ヘッドホン!Audio-Technicaが打ち出す“真の開放型”とは?

ATH-R70xの発売から10年を迎えた今年、Audio-Technicaが新作ヘッドホンのATH-R70xaとATH-R50xを発表した。本稿では、トゥルーオープンエアー=真の開放型をうたう各機種を、それぞれエンジニアの古賀健一とDJ/プロデューサーのRISA TANIGUCHIが早速テスト。その実力やいかに?

ATH-R70xa

ATH-R70xa

ATH-R70xa|オープン・プライス(市場予想価格:54,450円前後)

プロのニーズに応えるハイエンド機

❶ひずみを抑えた専用設計ドライバー

50年来の独自技術を生かした専用設計のドライバーを搭載。振動板の動きをそのまま音に変換するというトゥルーオープンエアーオーディオにより、ひずみを最小限に抑えた開放型のサウンドを提供する。

❷200g未満の軽量ボディ

本体重量はわずか約199g。新規設計のスライダー式ヘッドバンド&ヘッドパッドを採用し、長時間作業での負担を軽減する。

❸プロ向け機材に特化した仕様

ヘッドホン・アンプやオーディオI/Oの併用を前提としたハイインピーダンス仕様で、小音量から大音量まで幅広いボリュームでモニターできるようになっている。各種別売りパーツによりメンテナンス性にも優れる。

【Specifications】
●型式:オープンバックダイナミック型 ●ドライバー径:45mm ●インピーダンス:470Ω ●周波数特性:5Hz~40kHz ●出力音圧レベル:97dB/mW ●最大入力:1,000mW ●重量:約199g(ケーブルを除く) ●付属品:ポーチ、ストレート・ケーブル(3m)、φ6.3mmステレオ変換プラグアダプター

ATH-R50x

ATH-R50x

ATH-R50x|オープン・プライス(市場予想価格:27,830円前後)

スタジオから宅録まで広く対応

❶フラッグシップ機を継ぐプロ仕様モデル

ATH-R70xa同様トゥルーオープンエアー=真の開放型を追求してドライバーを設計。ATH-R70xを継承した開放型専用設計ドライバーを搭載する。

❷PCやタブレットなどとも併用しやすい仕様

低インピーダンスのため、スタジオ機器はもちろん、PCやタブレットなどに直接つないでも十分なボリュームが得られ、アプリでの音楽制作やリスニング用途にも対応する。

❸快適な装着感を追求

1.2mと3mのケーブルが付属し、作業中のコード抜けを防止するバヨネット式ロック機構を採用。本体の重量は約207gで疲れにくい装着感を提供する。

【Specifications】
●型式:オープンバックダイナミック型 ●ドライバー径:45mm ●インピーダンス:50Ω ●周波数特性:5Hz~40kHz ●出力音圧レベル:93.3dB/mW ●最大入力:1,600mW ●重量:約207g(ケーブルを除く) ●付属品:ポーチ、ストレート・ケーブル(1.2m、3m)、φ6.3mmステレオ変換プラグアダプター

ATH-R70xa × 古賀健一

古賀健一

【Profile】レコーディング・エンジニア。2014年にXylomania Studioを設立。チャットモンチー、ASIAN KUNG-FU GENERATION、Official髭男dism、D.W.ニコルズらの作品に携わる。スタジオの音響アドバイスも手掛ける。

ステレオでもバイノーラルでもしっかり定位する

 ATH-R70xaは、一聴して“これ、使える”というのが第一印象でした。旧モデルのATH-R70xは長く使ってきましたが、その後継機種と思えないほど良い意味で音が違います。低音が出て、ひずみ感が驚くほど少ない。特にひずみ感の少なさは、2ミックスでの表現をバイノーラルで再現する際に重要です。しかも、ステレオでの頭内定位も、空間オーディオのバイノーラルにおける頭外定位もしっかり定位するので、どちらのフォーマットでも使えます。ケーブルは、長さが3mあるのでミックス時に動きやすいですし、左右両出しなのも好みです。装着感はATH-R70xよりさらに軽く、フィット感も増しています。メガネをかけたまま着けても疲れにくいし、ハウジングと耳の間に隙間ができて音が変わる心配もなさそうです。ミックスまで手掛ける作曲家で密閉型しか使っていない人はぜひ本機で開放型の世界を知ってほしいですね。あと、クラシックの演奏家にもお薦めしたいです。開放型だと自分の演奏を聴きながら宅録できますから。手に取りやすい価格帯なので、まずは聴いてみてください。特にATH-R70xユーザーは必ず買い替えたくなるでしょう。

ATH-R50x × RISA TANIGUCHI

RISA TANIGUCHI

【Profile】DJ/プロデューサー。世界中を飛び回り培ったDJスキルと中毒性ある楽曲プロデュース・センスで、クリス・リービング、アメリー・レンズ、シャーロット・デ・ウィットといった世界中のテクノ・プロデューサーが信頼を寄せる。

アプリでの音楽制作も良い音で楽しめる

 私は夜中に作業することが多く、8〜9割はヘッドホンでモニターするのですが、実は意識して開放型を使ったのはこのATH-R50xが初でした。最初の印象は“こんなに立体感があるのか”とびっくりしましたね。私はハイハットが鳴り続けるような音楽を作っているので、高域が出すぎても抑えすぎてもいない感じが心地良かったです。中高域のEQを細かく調整するのにも役立ちそうですね。そして、低域がモコッとしないのもお気に入り。最近のテクノはよく低域にリバーブをかけるのですが、ATH-R50xは各パートの位置がくっきり分かるので、その作業が楽しくできそうです。スマートフォンにも直接つなげられるので、音楽制作アプリで試したらめちゃめちゃ音が良くて、一瞬でビートが組めました。クリエイターにとって、常にやりやすい環境を維持するには、ストレスなく使えることが大事です。特に軽さは重要で、ATH-R50xはその点でもすごく快適でした。付属のケーブルがストレート・タイプなのも、使用中に絡まる心配がなくてありがたいです。スピーカーで音を出しづらい宅録環境の人は、開放型のATH-R50xを試してみると良いと思います。

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