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【レビュー】API MC531 〜API卓の伝統×モダンな利便性の上質モニター・コントローラー

API MC531 × イロハ

古くからコンソールやアウトボード、近年はギター/ベース・ペダル製品まで、プロフェッショナルなオーディオ・クオリティを担保し続けるAPI。モニター・コントローラーMC531は、5系統の入力ソースと3系統の出力セレクターを備えた製品。伝統的なAPI卓のモニター・セクションをベースに開発されており、USBやBluetooth入力にも対応するモダンな一面を兼ね備える。さらに特筆すべきは、同社の特長とも言えるOPアンプ2520&トランスを、任意で出力回路にルーティングする“APIスイッチ”。今回は、確かな耳で楽器演奏からエンジニアリングまでマルチにこなすイロハに、MC531をチェックしてもらった。

APIらしく中域のガッツ感が特長で“良い音!”と作業テンションが上がります

API MC531

第一印象

 やはりAPIというブランドの存在感は大きいです。スタジオでアウトボードを選ぶ際も、“NEVE系か、SSL系か、API系か”という具合に、APIのサウンド・キャラクターは確立されていますよね。このコントロール・ノブの形状も“APIを使っている”という気分になれて、とてもテンションが上がります。コントロール・ノブがノッチ式なのも使い勝手が良いです。

モニター・スピーカー出力

 最初に音を出した瞬間に、APIならではのガッツがあるサウンドで、“良い音!”と感じました。元気のあるミッドが特長だと思います。モニター・レベルをどんどん上げていった際も、以前使っていた他社製モニター・コントローラーだと飽和感が出てしまったのですが、MC531はそのまま音量を大きくしてくれます。やはりクオリティが違うと感じました。

ヘッドホン出力

API MC531 ヘッドホン

 過剰な色付けがあるわけではなく、プロフェッショナル・レベルの良質な出音という印象です。2系統のヘッドホンはそれぞれに任意の入力ソースを割り振れ、さらにトークバック・マイクも混ぜられるので、例えば小規模スタジオでボーカリストと共同作業する際にも便利です。

API出力スイッチ

API MC531 APIスイッチ

 ONにすると“声”の部分が少し前に出てくる変化を僕は感じました。OFFの状態でも十分にAPIらしい良い音なので、常にONにしておくというよりは、音源や好みによって使い分けるといいかと思います。クリエイターにとっては、曲作りのテンションが上がるという効果もありそうですね。例えばこのMC531をアウトボードのようにして、API出力スイッチを経由して戻す、というように音作り用途でも使えるかもしれません。

操作性

 説明書を見ずにいじりはじめてみましたが、MC531はパネル通りの操作になっているので、ほとんどの機能がすぐに使用できました。ST-4出力(AES3/USB)の切り替え方については説明書を読んだものの、ボタンの長押しで簡単にできて納得。また、各ヘッドホンに対する入力ソースの割り当ても、ヘッドホンと入力ソースのボタン同時押しなので直感的に操作できます。

入力ソース・セレクター

 多彩な入力ソースに対応しているのはとても便利です。クライアントが持ってきたスマホをBluetoothでつなげたり、共同制作者のパソコンをUSBでつなげばオーディオ・インターフェースにもなってくれる。僕の制作環境で意外と重宝したのは、電子ピアノを入力の一つに挿しておいて、作曲時に少し弾いてみようと思ったらすぐモニターできたことですね。ミキサーではないので複数の入力ソースを混ぜて聴くことはできませんが、アイディア次第で自分に合った使い方ができそうです。

API MC531セレクター

トークバック・マイク

API MC531 Talkback

 僕が今使っているオーディオ・インターフェースにもトークバック・マイクが付いていますが、その音はコンプ感が強くて“キーン”となる感覚なんですね。それと比べると、MC531のトークバック・マイクはとても自然な音です。小さな穴に埋め込まれているようなトークバック・マイクよりも、MC531はダイアフラムも大きめな設計になっているでしょうし、声がナチュラルに聴き取りやすいです。トークバックとしての働きをしっかり行ってくれます。

入力ソース・メーター

API MC531 メーター

 素直に振れてくれて、何の不自由もなく使えました。リアにメーター出力も付いているので、VUメーターを併用するのも良さそうです。

総評 〜ガッツのある音、そして作業していて“楽しい!”

API イロハ

 実際に使ってみて、価格に見合ったクオリティの製品だということが実感できました。作業していて自然とテンションが上がる……ガッツのある音、そして作業していて“楽しい!”と思える製品です。チェック期間が終わってしまったので、このMC531を返却しなければならないのが悲しいところです。

API MC531

オープン·プライス(市場予想価格:438,900円前後)

API MC531

  • 外形寸法:約279.4(W)×101(H)×約324(D)mm
  • 重量:約3.85kg

REAR PANEL

API MC531 Rear

INPUTS

  • ST-1:TRSフォーン×2
  • ST-2:TRSフォーン×2
  • ST-3:TRSフォーン×2
  • ST-4①:AES3 XLR
  • ST-4②:USB Type-B
  • ST-5①:ステレオ・ミニ(フロント側にも1系統装備)
  • ST-5②:Bluetoothアンテナ

OUTPUTS

  • MAIN:XLR×2
  • ALT-1:XLR×2
  • ALT-2:XLR×2
  • サブウーファー:XLR
  • ヘッドホン:TRSフォーン×2
  • メーター:TRSフォーン×2

イロハ

イロハ

洗足学園音楽大学大学院卒業。さらばルバートのvo&gとして活躍する一方で、作曲~録音まで一人で行う音楽クリエイターとしてもマルチに活躍。福山雅治、三品瑠香、由薫、Hana Hope、ウォルピスカーターなどのプロジェクトにかかわる注目の若手音楽家。

API MC531 製品情報

 

 

 

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