WOWOW、ハイレゾ&イマーシブ対応など最新技術搭載の新音声中継車を公開 〜96kHz/7.1.4ch対応で業界最先端へ

新音声中継車(写真提供:WOWOW)

WOWOWが公開した、最新技術搭載の新音声中継車(写真提供:WOWOW)

 WOWOWは4月11日、15年ぶりとなる新しい音声中継車を公開した。この音声中継車は、サンプリングレート96kHzのハイレゾ音声や、イマーシブ/サラウンド(7.1.4/5.1.4ch)制作に対応するなど、最新の音響技術を多数搭載。初運用はTM NETWORKの40周年ライブ(4月8〜9日/横浜アリーナ)で行われ、その模様は5月31日にWOWOWプライムで放送される予定だ。

WOWOWが公開した新音声中継車の外観

新音声中継車の外形寸法は、⻑さ10.87m × 幅2.945m × ⾼さ3.57m(写真提供:WOWOW)

ハイレゾ&イマーシブに対応

 新中継車最大の特徴は、従来の48kHzから2倍となる96kHzサンプリングレートへの対応。これにより、CDを超える高音質=ハイレゾオーディオでの収録・中継が可能となり、アーティストやPAエンジニアからの要望にも応える形となった。

 また、Dolby AtmosやApple Musicなどで普及が進むイマーシブオーディオにも本格対応。2つの調整室(Room-AとRoom-B)を備え、7.1.4chおよび5.1.4chの立体音響制作・モニタリング環境を実現する。

Room-A

7.1.4chのイマーシブ制作に対応するRoom-A。コンソールには、64フェーダー構成のSolid State Logic System T S500 Control Surfaceが鎮座する。モニタースピーカーは、musikelectronic geithain RL 933K、RL906を採用し、Dante I/O搭載オーディオインターフェースUniversal Audio Apollo x16Dを備える(写真提供:WOWOW)

Room-B

5.1.4chのイマーシブ制作に対応するRoom-B。コンソールは、32フェーダー構成のSolid State Logic System T S300 Control Surfaceで、モニタースピーカーは、Genelec 8331Aと8010(写真提供:WOWOW)

Dante採用&冗長設計で安心運用

 音声信号伝送には業界標準のDanteネットワークを採用し、冗長化による高い信頼性を確保。主要機器の電源も二重化されており、車両後部には無停電電源装置(UPS)やディーゼル発電機も搭載している。このため、停電や電源トラブル時でも安定した運用が可能だ。

拡幅機構で作業効率も向上

 車体は拡幅機構を備え、現場での作業スペースを拡大可能。3~4名のスタッフが快適に作業できる空間を確保している。さらに、統括的な最新技術の採用で車両重量を20t未満に抑え、機動力の高い運用も実現したという。

WOWOW、最新技術搭載の新音声中継車を公開――ハイレゾ&イマーシブ対応でライブ中継の未来を切り拓く

WOWOWが公開した、最新技術搭載の新音声中継車(写真提供:WOWOW)

新音声中継車は、Room-Bの作業スペースを拡大可能

新音声中継車は、Room-Bの作業スペースを拡大可能(写真提供:WOWOW)

他社へのレンタルも視野に

 WOWOW技術センターの戸田佳宏エンジニアによれば、新中継車の導入コストは億レベルで、今後は自社番組のみならず、グループ会社や他局、外部現場へのレンタルも積極的に展開する方針だと話す。

 「ぜひ皆さんに使っていただいて、アーティストの皆さんあるいはスポーツ選手の皆さんと素晴らしい作品を世界にお届けできればなと思っています」(WOWOW技術センター 戸田佳宏氏)

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